「高知東急」事件を振り返る

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

昨日、加護亜依さんの商標について書きましたが、芸能人の名前が法的な問題となった事件として、高知東生(たかちのぼる)さんを思い出しました。

今の若い方は、高知東生さんの前の芸名が「高知東急」だったということを知らないかもしれませんね。私は、高知さんが改名したときの芸能ニュースをよく覚えています。「高知東急」で「たかちのぼる」と読ませるのは幾らなんでも無理があるでしょう、、と思ったものでした。

 

さて、「高知東急」事件の内容ですが、平成8年に東京急行電鉄(株)(東急電鉄)が、不正競争防止法違反として高知さんの芸能活動に「高知東急」その他「東急」の文字を含む名称を使用することの差止めを求めました。

電車

裁判において、原告の東急電鉄側は、

①被告の芸名「高知東急」は、原告及び東急グループの営業表示である「東急」と同一又は類似であり、

②原告の「東急」という営業表示が周知、著名であることから、被告が「高知東急」の芸名を使用して芸能活動を行うことは、原告及び東急グループとの間に経済的若しくは組織的な何らかの密接な関係があるとの誤認混同を生じさせるおそれがあるため、

不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当すると主張し、その主張が認められました(東京地裁判決 平成10年3月13日)。

 

判決文によると、高知さんのデビューが27歳と遅かったことから「急いで東(東京)へのぼれ」という意味で、名を「東急」(のぼる)としたそうです。ちなみに、今の名前の「東生」は「東京で生きる」という意味で改名したそうです。名前の付け方に、もう一工夫あってもよいかな。。と個人的には思いますが。

 

今日は以上です。

※画像引用先:http://www.tokyu.co.jp/railway/top/index.html

この記事を書いた人

鈴木 徳子