こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今日は、名前シリーズの続きです。先日の記事に関連し、商標法4条1項8号に規定する「「氏名」について考えてみます。

商標の拒絶査定不服審判(不服2010-28871)をみてみましょう。

 

TSUTSUI HAJIME左の商標は、第21類商品「はし、はし箱、はし置き、はしを入れる袋、はし入れ」を指定して出願されました。

しかし、審査では商標法4条1項8号に該当するという理由で拒絶査定となりました。

拒絶の理由の詳細は次のとおりです。・・・本願商標は「筒井 肇」の氏名を欧文字表記したものと認められる「TSUTSUI HAJIME」の文字を有してなるところ、インターネット検索によれば、3名の「筒井 肇」氏が現存しており、かつ、当該他人の承諾を得ているものとも認められないので、商標法4条1項8号に該当する。

 

これに対し、出願人が拒絶査定不服審判を請求し、審判では原査定が取り消されました。

その理由は次のとおりです。(下線部は加筆しました。)

・・・同号所定(商標法4条1項8号)の「他人の氏名」とは、使用する者が恣意的に選択する余地がなく、特定人を指し示す法令上の正式な氏名というべきであって、日本人の氏名の場合、戸籍簿で確定される氏名が、同号所定の「(他人の)氏名」に当たるというべきである。
そこで本願商標について検討するに、原審が引用する他人の氏名はいずれも漢字で表記された「筒井 肇」であり、これが戸籍簿上の氏名でもあると推認されるところ、本願商標の構成中にあるのは、欧文字で表記された「TSUTSUI HAJIME」であって「筒井 肇」ではないから、本願商標は、同号所定の「他人の氏名」を含む商標ということができない。

 

要するに、商標法4条1項8号でいう「氏名」は戸籍上の氏名であり、ローマ字表記は「氏名」に該当しないということです。

いまやパスポートやクレジットカードなど氏名がローマ字で表記されることは多いと思いますが、その意味では国際化の流れに逆行している気もしますね。

今日は以上です。

 

※画像引用先:特許電子図書館