美容室の商標権侵害事件-1

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

先日、知合いの美容師さんのお話を聞いたのですが、全国の美容院の店舗数は、信号機の数より多いそうです。私も調べてみましたが、H23年度の統計で、美容院の店舗数は約23万件でした。信号機は約19万機、ちなみにコンビニは約5万件でした。

これだけ数が多い美容院ですから、商標権侵害事件はきっとあるだろうな、と思って調べるとありました。下記に簡単にご説明します。(大坂地裁平成25年1月24日判決 平成24年(ワ)第6896号)

 

大阪市で美容室「Caché」を経営する原告は、第44類役務「美容、理容」を指定する商標「Cache」(標準文字)の権利者でした(商標登録第5441186号)。事件は、その原告が、東大阪市に下記の標章1および標章2を使用して美容室を開店していた被告を商標権侵害のかどで訴えたものです。

標章1             標章2

cache aise

 

裁判では、標章2については原告の登録商標とは非類似であると判断し侵害を認めませんでした。非類似の根拠は、「aisé」の部分がその位置及び大きさからして商品又は役務の出所表示機能として強く支配的な印象を与えるものであり、小さく表示された「cache」の部分から独立の称呼、観念が生じることは無いというものです。

しかし、標章1については、侵害を認め、被告の先使用権の抗弁の主張は認められませんでした。

・・続きは明日に。

 

今日は以上です。

この記事を書いた人

鈴木 徳子