世界文化遺産決定に伴い「富士山」関連商標を考えるー2

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今日は、昨日に引き続き、「富士山」関連商標について書きます。

商標「富士山バウム」の拒絶査定不服審判の審決(不服2012-17750)のご紹介です。

 

商標「富士山バウム」(標準文字)は第30類「バウムクーヘン」を指定する商標ですが、審査では、「富士山」の文字は「静岡・山梨両県の境にそびえる日本第一の高山」を意味し、「バウム」の文字はバウムクーヘンの略称として一般に用いられている語であるため、取引者・需要者は「富士山及びその周辺地域で製造又は販売されているバウムクーヘン」であると理解するにとどまり、識別力を欠くという理由で、商標法3条1項3号を根拠に拒絶査定となりました。

 

出願人は、これに対し審判を請求しましたが、原査定を覆すことはできませんでした。出願人は審判で「バウムクーヘン」は富士山及びその周辺地域の特産品でもなく、富士山周辺で製造販売される菓子でもなくバウムクーヘンと富士山とは何ら関係がない、などと主張しました。

 

しかし審判では、ジョージア判決(最高裁 S61.1.23 昭和60年(行ツ)第68号) を引用し、

「・・・商標法3条1項3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず需要者または取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りる

として原査定を維持する審決を下しました。(下線部は加筆)

 

ところで、同じくバウムクーヘンに使用する商標の、

「富士山バウム・クー」(登録第5290886号)

「富士山クーヘン」(登録第5418131号)

については、しっかり登録されています。

それぞれの実際の商品は下記のサイトをご参照ください。

http://item.rakuten.co.jp/meruhen/fujisan-baum-ku-/

http://morozofftest.one-gravity.jp/products/2311.html

 

「富士山バウム」も、ネーミングにあと、ひとひねり欲しかったかな、と思います。

今日は以上です。

 

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子