当事者系の審判請求の費用の請求について

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

昨日、無効審判係属中に権利放棄をした商標「白樺/しらかば」の事例をご紹介しましたが、この審決を最初読んだとき、

なぜ権利放棄をしたのだろうか、といろいろと考えてしまいました。

もしかすると、被請求人は権利放棄をすることにより、審判請求人の審判請求の取り下げを期待していたのではないか、、とか。

完全に私の勝手な憶測ですが。。

 

無効審判などの当事者系審判では、審判請求書の「請求の趣旨」に「登録第○○○号商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める」という旨の記載をしますが、審判費用は、審判で敗訴した当事者が原則負担することになります。

 

しかし、審判請求の取り下げのケースですと、請求人側の費用負担となります。したがって、本件の被請求人は審判請求の費用負担のことが頭にあったのだろうか。。と想像してしまったというわけです。

真偽の程はわかりませんが、この流れで、審判の費用負担について書いてみようと思います。

 

審判請求の費用負担については、特許庁の審判便覧47-01~47-03に詳しく記載されています。

費用負担を相手側に請求する手続きは、簡単に要約すると次のようになります。

まず、「登録○○○号商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」という様な審決が出され、その審決の確定後、「審判費用額決定請求書」に(印紙代などを記載した)「審判費用計算書」を添付して特許庁長官に提出します。

特許庁は費用の額を決定すると「審判の費用の額の決定書」を当事者に送達します。そしてこの決定に基づいて、相手側に審判費用の支払いを請求をします。

 

ところで、この審判費用請求の手続きですが、私の周りで実際に手続きを経験した弁理士はいません。特許庁で年間どのくらいの審判費用額決定請求書が提出されているのか興味があります。

おそらく、商標無効審判のようなケースで、指定商品(役務)の区分数が少ない場合、戻ってくる費用(印紙代)と代理人に支払う手数料を比較すると、あまりペイしないので、放置しているというのが現状ではないでしょうか。

ちなみに、商標の審判請求の費用(印紙代)は1区分55,000円で、複数の区分の場合、40,000円×区分数が加算されます。印紙代の額がものすごく高額になるような場合は、審判費用を請求する手続きを検討してもよいかもしれません。

 

今日は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子