著作権法上の「公衆」: 「多数」とはどのくらいの人数?

著作権法上の「公衆」とは?

「特定かつ多数の者」の「多数」とはどのくらいの人数?

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

昨日の記事に引き続き、今日も著作権について書きます。

 

先日の著作権の講座で、公表権で定義される「公衆」の内容について議論になりました。

公表権とは、未公表著作物(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む)を公衆に提供し、又は提示する権利のことです(著作権法18条)。

 

「公衆」とは不特定少数、不特定多数、特定多数の者を意味します。

少数特定の者、例えば、家族などの親密な私人関係は「公衆」には含まれません。

著作権法2条5項には、「公衆」には、特定かつ多数の者を含む、と規定されていますが、特定多数の者まで「公衆」に含めるのは、「会員のみが対象なので、不特定の人向けではない」という脱法行為を防ぐためです。(参照:「著作権テキスト~初めて学ぶ人のために~ 平成25年度 / 文化庁長官官房著作権課」http://www.bunka.go.jp/Chosakuken/text/index.html

 

講座で議論となったのは、「多数の者」とは、いったいどのくらいの人数を指すのか、ということです。

この点は、法律に規定されているわけではありませんが、文化庁は、一般には「50人を超えれば多数」と考えているようです。(もちろんケースに応じて異なってくるでしょうが。)

 

「中田英寿事件」(東地判H12.2.29)では、「本件詩が300名以上という多数の者の要求を満たすに足る部数が複製されて頒布されたものといえるから、公表されたものと認められる」と判断されています。

したがって、既に公表された著作物であり公表権の対象となる著作物ではないため、公表権侵害は認められないとされています。
今日は以上です。

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子