国の研究機関でも機能性食品が開発されています

国の研究機関でも機能性食品が開発されています

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

弊所でも力を入れている機能性(表示)食品ですが、民間企業だけでなく、国の研究機関でも開発されていたことをご存知ですか?

実際、農林水産省所管の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)では、「機能性をもつ農林水産物・食品開発プロジェクト」を行っていました。
(ちなみに、私が以前勤務していた国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、経済産業省所管の研究機関です。)

研究者のイラスト農研機構は、産総研と同様に全国各地に地域研究センターを有し、全国各地で農林水産業に関する様々な研究がおこなわれています。

さて、上記プロジェクトですが、平成25年度~平成27年度(3年間)のプロジェクトで、平成28年3月18日に成果発表会が開催されたようです。
(当日は予定があり、発表会には残念ながら参加することができませんでした。)

ちなみに、次の研究成果が発表されたようです。

  • 食後血糖値上昇を抑制する高アミロース米等とその加工食品の開発
  • 高β-グルカン大麦・小麦全粒粉を用いた低GI/抗メタボ食品の開発
  • 食後血糖値を抑制する表面加工玄米やその加工食品の開発
  • ルチン高含有ダッタンソバ「満天きらり」を用いた脂質代謝改善効果のある加工食品の開発
  • 抗酸化物質高含有食品による睡眠改善を介した抗メタボ効果の検証と商品開発
  • 脂質代謝改善効果を持つβ-コングリシニン高含有大豆の栽培技術及び加工食品の開発
  • 認知機能障害予防作用を持つケルセチン高含有タマネギの栽培技術及び加工食品の開発
  • 日本の伝統健康野菜ゴーヤのエビデンスとサイエンスを根拠とする適正商品化技術の開発
  • カロテノイド類の生体調節機能に着目した抗メタボ食品提供技術の開発とその効果の実証研究
  • β-クリプトキサンチンの抗メタボ効果等に着目した柑橘及びその加工食品の開発
  • 脂質代謝改善効果を持つ高カテキン緑茶及びその加工品の開発
  • 高分子プロシアニジン類の腸管ホメオダイナミクスによる生活習慣病予防作用の解明に関する研究
  • 食べるセロトニンの抗肥満作用機構解明とセロトニン高含有農産物の研究開発
  • 機能性を持つ農林水産物のデータベースの構築及び個人の健康状態に応じた栄養指導システムの開発
  • 中年男性をターゲットとしたテーラーメード機能性弁当の効果実証および供給システム開発
  • 機能性弁当の内臓脂肪面積低減効果検証のためのヒト介入試験

これらの報告書がまだ公表されていないようなので詳細は分かりませんが、面白そうなテーマが並んでいると思います。

さて、この研究成果自体も素晴らしいと思いますが、これらの成果は、平成27年4月から始まった「機能性表示食品」に関する機能性の科学的根拠(エビデンス)としても活用できる点に注目してください(国の研究機関の研究成果ですから当然ですね!)。

また、平成28年4月より、機能性食品(機能性表示食品)に関する特許も取得しやすくなりました(こちらを参照してください)。
したがって、この成果(実験結果)を使って、機能性食品(機能性表示食品)に関する特許を取得することもできるかもしれません。

まさに、一石二鳥・一挙両得ですね!

今回は国のプロジェクトということでテーマの公募が行われたようですが、これとは別に、農研機構のような公的研究機関と共同研究を行って同様の成果を出すこともできます。
(当然費用は発生しますが、民間の受託開発会社と比較すると、非常にリーズナブルな費用だと思います。)

以前、産総研で技術移転業務を行っている時に、「産総研は敷居が高く感じて、気楽に相談できない」と言われたことがありますが、農研機構も同様に敷居が高いと感じられているかもしれません。

しかし、所属している多くの研究者は、自分の研究成果を実際に使ってもらいたいと思っています。
大学や農研機構のような公的研究機関と共同研究したいテーマがあったら、気楽にアクセスしてみてください。
公的研究機関は民間の受託開発会社ではないので必ず共同研究をしてくれるとは限りませんが、興味のあるテーマでしたら協力してくれると思います。

弊所でも、公的研究機関との共同研究のサポートも行っています。
気楽にご相談ください。

ちなみに、機能性食品に関する特許が取得しやすくなったことの情報はこちら

今日は以上です。

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