特定保健用食品(トクホ)なのに健康増進法に基づく勧告がなされた事例

特定保健用食品(トクホ)なのに健康増進法に基づく勧告がなされた事例

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、特定保健用食品(トクホ)なのに、「誇大広告」に当るとして勧告を受けた事例について書きたいと思います。

特定保健用食品を規定する健康増進法第32条には、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定に違反して表示をした者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。」と規定されています。

今回ご紹介する事例は、この条項が初めて適用された事例になります。

トマトのイラスト対象となった食品は、ライオン株式会社の「トマト酢生活トマト酢飲料」です。

この飲料は、健康増進法第26条第1項又は同法第29条第1項の規定に基づいて特定保健用食品(トクホ)として許可を受けており、特別用途表示の内容としては「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」というものでした。

ところが、日刊新聞紙に掲載した広告には、次のような表示をしていたようです。

  • 「臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』」
  • 「実感できたから続けられる!10年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できています。今では離すことのできない存在です。」
  • 「50・60・70・80代の方に朗報!」、「毎日、おいしく血圧対策。」、「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々をサポートしようとライオンが開発した『トマト酢生活』。」

これらの表示に関し、消費者庁は、「あたかも、本件商品に血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているかのように示し、また、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果を得られるかのように示す表示をしていた」として、ライオン株式会社に対して勧告を行ったようです。

特定保健用食品であっても、機能性表示については厳格に運用するという消費者庁の意思表示かもしれません。

そうすると気になるのが、特定保健用食品よりも手続きが簡易な機能性表示食品の機能性表示についてはどうなのか?という点です。

特定保健用食品は、国の審査をクリアして初めて表示できるものですが、機能性表示食品は国の審査なく表示できるようになっています。
(特定保健用食品と機能性表示食品との違いはこちら

そうであるならば、機能性表示食品の機能性表示については、特定保健用食品の場合よりもより厳しく運用される可能性があります。

消費者の信頼を高めるためにも、機能性表示食品の機能性表示については誤解を招くような表示はしないようにしたいですね。

ところで、特定保健用食品や機能性表示食品に関する特許が取得しやすくなりました。
その情報はこちら

特定保健用食品や機能性表示食品に関し、特許の取得を考えている方は是非弊所にご相談ください。

今日は以上です。

追記:資料の保存場所が変更になったので、それに合わせてリンク先を変更(2018/8/5)

この記事を書いた人

branche-ip