ABS指針案が公表されました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

ABS指針案(遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針案が)が公表され、2017年1月20日~2月18日までの間、パブリックコメントを募集しています。illustration of nature

ABS(Access and Benefit-Sharing)指針とは、2010年に日本で開催された生物の多様性に関する条約第10回締約国会議(COP10)において採択された、「生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」の担保措置として定められることになっているものです。

この指針案には、次の事項について記載されています。

  1. 遺伝資源(遺伝資源に関連する伝統的知識を含む)の利用国としての措置
  2. 遺伝資源の提供国としての措置

ABSに従うと、外国の遺伝資源を利用して利益を上げた場合には、その遺伝資源の提供国に利益を配分しなければなりません。言い換えると、その遺伝資源提供国との間でライセンス契約を締結し、そのライセンス料を支払うことと同じような関係になります。

したがって、外国の遺伝資源を利用しようと考えている企業は、この指針を確認して、疑問点があったら意見を提出してください。
(指針といえども、実質的には強制力があるように取り扱われると思います。)

ちなみに、提供国への利益の配分に関係する部分(第3章 遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する奨励)は次のようになっています。

  • 第2 遺伝資源の利用から生ずる利益の生物の多様性の保全及び持続可能な利用への充当
    「3 提供国法令がその取得に当たって適用された遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的な知識を利用する者は、当該利用から生ずる利益について配分を求められる場合には、当該配分が公正かつ衡平なものとなるよう当該利用のための取得に係る契約を締結するよう努めるものとする。」
  • 第4 契約の条項のひな形の作成等
    「遺伝資源の利用に関連する業界等の団体は、その業界等の実態に応じて、遺伝資源の利用のための取得に係る契約に関する分野別の及び分野横断的な契約の条項のひな形の作成及び更新を行うよう努めるとともに、これらが利用されるよう努めるものとする。」

この他にも、情報提供義務などが定められています。

生物多様性条約は、先進国と発展途上国との間の溝がなかなか埋まらず、話が進んでいないと聞いていましたが、少しずつ進んでいるようですね。

ちなみに、国によっては、とんでもない率の利益配分を提示しているところもあるようです。

医薬品分野等では、遺伝資源の利用が進むと思われるので、今後のABSの動向に目が離せませんね。

今日は以上です。

追記:ABS指針が公表されました。そのブログはこちら