ABS指針が公表されました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで、ABS(Access and Benefit-Sharing)指針案が公表され、パブリックコメントを募集していることを書きましたが、その後の検討を経て、やっとABS指針(遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針)が公表されましたので、それについて書きます。自然風景

さて、今回公表された指針の内容ですが、パブリックコメントを募集していたABS指針案と同じもの(一言一句確かめたわけではありません)となっています。

したがって、遺伝資源提供国への利益の配分に関係する部分(第3章 遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する奨励)は、指針案と同様に次のように規定されています。

  • 第2 遺伝資源の利用から生ずる利益の生物の多様性の保全及び持続可能な利用への充当
    我が国に存する遺伝資源を利用のために提供する者、我が国に存する遺伝資源を利
    用する者及び提供国法令がその取得に当たって適用された遺伝資源を利用する者は、当該利用から生ずる利益を生物の多様性の保全及び持続可能な利用に充てるよう努めるものとする。
  • 契約の条項のひな形の作成等
    遺伝資源の利用に関連する業界等の団体は、その業界等の実態に応じて、遺伝資源
    の利用のための取得に係る契約に関する分野別の及び分野横断的な契約の条項のひな形の作成及び更新を行うよう努めるとともに、これらが利用されるよう努めるものとする。

ただし、今回定められた指針は、次の遺伝資源には適用されませんので留意してください(詳細は指針をご覧ください)。

  1. 核酸の塩基配列等の遺伝資源に関する情報(遺伝資源に関連する伝統的な知識に該当するものを除く。)
  2. 人工合成核酸(生物から取り出された断片を含まないものに限る。)
  3. 遺伝の機能的単位を有しない生化学的化合物
  4. ヒトの遺伝資源
  5. 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的な知識であって、議定書が日本国について効力を生ずる日前に提供国から取得されたもの
  6. 一般に遺伝資源の利用の目的以外の目的のために販売されている遺伝資源であって、遺伝資源の利用を目的とせずに購入されたもの
  7. 遺伝資源の利用であって食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約(ITPGR)が適用されるものその他の議定書適用外遺伝資源利用(議定書の適用される遺伝資源の利用に該当しない行為をいう。)

ちなみに、この指針は平成29年8月下旬から施行されるようですので、それ以降に遺伝資源を取得・利用する企業はこの指針が適用されることになります。

環境大臣への報告・通知等の煩雑な手続が定められていますが、遺伝資源提供国から法令違反として訴訟提起されるリスクを低減させることができますので、有効なものだと思います。

なお、国内でのABSの取扱いは、この指針によりある程度明確になりましたが、外国でのABSの取扱いはまだまだ不明確です。
外国のABS等についての情報は、次の一般財団法人バイオインダストリー協会のHPをご覧ください。

生物多様性条約(CBD)に基づく生物資源へのアクセスと利益配分のHPはこちら

今日は以上です。