「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が改訂されました(2017)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料7でご紹介した「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が今年も改訂されたので、そのことについて書きます。ネットショッピングのイラスト

電子商取引及び情報財取引等に関する準則」とは、電子商取引や情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを経済産業省がまとめたものです。

毎年のように改訂されており、平成29年度改訂版では、次の点について改訂されました。

  1. シェアリングエコノミーと兼業・副業に関する就業規則(新規項目)
  2. アプリマーケット運営事業者の責任(新規項目)
  3. 自動継続条項と消費者契約法第10条等(新規項目)
  4. オンライン懸賞企画の取扱い(変更)
  5. 使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェア(体験版ソフトウェア、期間制限ソフトウェア等)の制限の解除方法を提供した場合の責任(一部改訂)

1.の「シェアリングエコノミーと兼業・副業に関する就業規則」では、就業規則において兼業・副業禁止規定が設けられている趣旨を尊重することが重要であるとの基本的考え方を念頭に置きつつ、それらの禁止規定の効力がどのような範囲にまで及ぶのかを検討しています。

なお、兼業禁止規定の効力が及ばないと思われる例として、①民泊サービスを利用して、勤務に支障がないように鍵の受け渡し等を行い、休日に自宅の空き部屋を貸し出すこと、②クラウドソーシングサービスを利用して、休日に、勤務先でのノウハウを活用せず、勤務先の業種との関連もない分野の翻訳役務提供を行うこと等が例示されています。

2.の「アプリマーケット運営事業者の責任」では、アプリマーケット運営事業者に対して生じうる責任について整理しています。

3.の「自動継続条項と消費者契約法第10条等」では、自動継続条項を含む具体的なモデル事例を題材とし、主として消費者契約法第10条の適用の可否について検討しています。

この項目では、平成28年改正消費者法の改正趣旨を挙げ、例示したモデル事例では、消費者法第10条に該当する旨を詳しく説明しています。また、錯誤(民法95条)等の他の法律にも抵触する可能性があることも説明しています。

4.の「オンライン懸賞企画の取扱い」では、SNSやスマートフォン上のアプリで実施される懸賞の応募条件によっては景品表示法上の規制対象となることから、どのような場合に景品表示法上の規制が及ぶかを整理しています。

結論としては、取引付随性のある※懸賞企画は、景品表示法の規制の対象となるとしています。

※「取引付随性のある」とは、購入を条件として提供する場合が該当するほか、例えば、商品のラベルに記載したクイズの正解者に提供する場合や小売店が自己の店舗への入店者に対して提供する場合など、取引に関連して提供される場合をいう。

5.「使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェア(体験版ソフトウェア、期間制限ソフトウェア等)の制限の解除方法を提供した場合の責任」では、ビジネスソフトにおけるプログラムの制限版における制限方法が技術的制限手段に該当するとした裁判例を踏まえて一部改訂されています。

結論としては、例示されているすべてのケースが不法行為に該当し、損害賠償責任を負う可能性があるとしています。

以上、簡単に改正点を説明しましたが、詳細は必ず電子商取引及び情報財取引等に関する準則で確認してください。

この資料には、裁判にならないとなかなかテーマとならないものまできちんと解説していますので、実務上は大変役立つと思います。

改訂されるにつれて分量も多くなってきているので、すべてを読むことは大変ですが、電子商取引に関連する契約に携わる人にとって重要な資料ですので、是非一度目を通してください!

弊所では、ライセンス契約等の契約書に関するご相談も承っております。
ライセンス契約書等に関し、何かありましたら遠慮なくお問い合わせください。

今日は以上です。