デジタルアクセスサービス(DAS)って何?

デジタルアクセスサービス(DAS)って何?

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

デジタルアクセスサービス(DAS)をご存知でしょうか?
外国特許出願等の実務を行っていない方は聞いたことがないかもしれませんが、とても便利なサービスです(特許事務所に所属している人は必須の知識だと思います)。データ共有のイラスト

デジタルアクセスサービス(DAS)とは、第一国に対する出願を優先権主張の基礎として、第二国へ出願する際に、第二国への書面による優先権書類(優先権証明書)※の提出を省略することができるサービスです。

具体的には、日本特許出願をパリ優先権主張の基礎として、例えば米国特許出願を行う際には、出願日から所定の期間内に優先権書類を提出しなければなりません。

ここで、優先権書類は、通常外国の特許庁が発行する書類なので、外国から取り寄せる必要があり、手続的には手間も費用もかかるものでした。

ところが、第二国への出願時に、その出願書類に、第一国の特許庁が発行するアクセスコードを記載することによって、優先権書類の提出を省略することができるようになります。とても楽チンですね!
(システム的には、そのアクセスコードに基づいて、世界知的所有権機関(WIPO)を介して、第二国の特許庁が第一国の特許庁から優先権書類を取り寄せるようになっています。)

ちなみに、日本国特許庁が発行するアクセスコードは、現在は出願時に付与されます。

ただし、現時点(2017年11月時点)でデジタルアクセスサービスを利用できる国は、次の16ヵ国間だけですので注意が必要です。

参加国記号参加国機関
AUオーストラリア特許庁
BRブラジル産業財産庁
CN中国国家知識産権局
DKデンマーク特許商標庁
EAユーラシア特許庁
EEエストニア特許庁
ESスペイン特許商標庁
FIフィンランド特許庁
GB英国知的財産庁
IB世界知的財産権機関
INインド特許庁
JP日本国特許庁
KR韓国特許庁
MAモロッコ産業商業財産権庁
NLオランダ特許庁
NZニュージーランド知的財産庁
SEスウェーデン特許登録庁
US米国特許商標庁

最新の状況はこちら

出願費用や時間を節約するために、利用できる場合には、是非デジタルアクセスサービスを利用してみてください。

弊所でも、もちろんデジタルアクセスサービスを利用していますよ。

弊所では、外国特許出願や外国実用新案登録出願等のサービスも行っております。
外国での権利取得をお考えの方は、是非弊所にご相談ください。

今日は以上です。

優先権書類(優先権証明書)とは、外国の権限のある官庁等が発行する、最初の出願に係る出願書類(明細書、図面等を含む)の謄本等をいう。

追記:デジタルアクセスサービスを利用できる国として、インドとオランダを追加(2018/10/6)
追記:特許庁のURLが変更になったので、それに合わせてリンクを修正(2019/3/5)

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