特定用途食品に対して景品表示法に基づく排除命令が初めて適用された事例

特定用途食品に対して景品表示法に基づく排除命令が初めて適用された事例

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、特定用途食品※に対して景品表示法に基づく排除命令が初めて適用された事例について書きたいと思います。

消費者庁のニュースリリースによると、キッセイ薬品工業株式会社が特定用途食品として製造販売する「げんたそうめん」および「げんたうどん」が、景品表示法に第5条第1号(優良誤認)に該当することから、同法第7条第1項の規定に基づき、消費者庁から措置命令が出されました。

具体的には、これらの商品は、次のような申請を行い、「病者用 低たんぱく質食品 腎不完全患者用」等の特定用途食品の表示許可を得ていました。

  • 「げんたそうめん」:栄養成分表示のたんぱく質量として、100グラム当たり「2.8g」
  • 「げんたうどん」:栄養成分表示のたんぱく質量として、100グラム当たり「1.9g」

ところが、実際にこれらの商品に含まれるたんぱく質量を計測したところ、製品規格値の基準を満たすための品質検査の管理が行われておらず、「げんたそうめん」では、製造された37ロット中25ロットの商品において、100グラム当たり2.2グラムないし2.8グラムとする製品規格値を0.1グラムないし0.4グラム上回っていた。

げんたそうめんのパッケージ
引用:消費者庁ニュースリリース

また、「げんたうどん」でもどうように、製品規格値の基準を満たすための品質検査の管理が行われておらず、30ロット中12ロットの商品において、100グラム当たり1.5グラムないし2.3グラムとする製品規格値を0.1グラムないし0.2グラム上回っていた。

げんたうどんのパッケージ
引用:消費者庁ニュースリリース

その結果、上記2商品の各商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示をしていたものであり、これらの表示は、それぞれ、景品表示法第5条第1号に該当するとされ、消費者庁から排除命令が出されました。

以前のブログにも書きましたが、特定の表示に関する許可(トクホ、機能性表示、特定用途等)を得ている企業は、通常の品質管理に加えて、その表示の根拠となる物質等の管理も是非行ってください。

ところで、特定保健用食品や機能性表示食品に関する特許が取得しやすくなりました。
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今日は以上です。

※特定用途食品とは、病者用、妊産婦用、授乳婦用、乳児用、えん下困難者用などの特別の用途に適する旨の表示をする食品をいう。

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