自社が使用している名称を先に商標登録されてしまった事例

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

弊所のHPでも、商標は早い者勝ちの世界ですと言っていますが、Webサイトの名称として使用していたものが、競合会社に商標登録されてしまったので、無効審判を請求したという事案が発生しましたので、今回はそれについて書きます。

商標登録第5962660号

商標登録第5962660号

株式会社Moguraのプレスリリースによると、株式会社Moguraは、VR・AR関連ニュースメディアの名称として使用していた「MoguraVR」という商標に関して、VR関連の情報を扱うウェブメディア「VR Inside」を運営しているスパイシーソフト株式会社が商標登録(本件商標登録)したのは無効であるとして、無効審判を請求したようです。

このプレスリリースでは、『スパイシーソフトの行なった本件商標登録は弊社に無断で行われ、「不正の目的に基づいた剽窃的行為と評価されるべきものであり、社会の一般的道徳観念に反し、公正な商取引の秩序を乱すものであって、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある」商標であると考え』としていることから、本件商標登録は商標法4条1項19号の無効理由を有するとして無効を主張しているものを思われます。

商標法4条1項19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」という条文です。

この条文の趣旨は、日本国又は外国で周知な商標と同一又は類似の商標を不正の目的で使用するものを不登録理由としたというものです(工業所有権法逐条解説〔第20版)p1416)。

本件がこの条文に該当するためには、スパイシーソフトが不正の目的をもって本件商標登録を行ったか否かが焦点となります。Newsのロゴ

ちなみに、株式会社Moguraのプレスリリースによると、本件商標登録出願の出願日である2016年10月5日以前に、スパイシーソフトが運営しているウェブメディア「VR Inside」に、「Mogura VR」および「代表取締役兼Mogura VR編集長の久保田 瞬」について言及した記事を複数回にわたって配信した事実があることを指摘しています。

本件について、さらに動きがありましたらブログに書きたいと思います。

あと、これは後の祭りの話になってしまいますが、株式会社Moguraが自社のサービスを提供する前に、「MoguraVR」について商標登録しておけばこんな問題は起きなかったのにと思うことがあります。

費用的にも、無効審判請求費用と比較すれば、商標登録に係る費用は通常数分の1で済むことが多いです。

本件のような状況にならないようにするためにも、もし会社名やネットを使ったサービス名について商標登録をしていない場合には、早急に商標登録しておくことをお勧めいたします。

弊所では、商標登録だけでなく、先取り商標対策に関する相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。