AI関連技術に関する事例について

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

AI関連技術に関する事例の追加について 表紙

引用:AI関連技術に関する事例の追加について

特許庁が、AI関連技術に関する事例をまとめた資料(AI関連技術に関する事例について(説明資料))を公表したので、今回はこの資料についてご紹介します。

「AI関連技術に関する事例について(説明資料)」はこちら

近年の情報技術の発達によって、ディープラーニング等を用いたAI技術が発展してきました。

そして、様々な技術分野でAI技術(人工知能技術)を用いた技術が開発されてくると思われます。その中には、AI関連技術とは関係が少なかった技術分野も含まれてくると想定されています。

そこで、特許庁は、AI関連技術に関して、記載要件(特許法36条)や進歩性(29条)の審査ハンドブックの事例を充実させることにし、今回ご紹介する資料はその1つになります。

さて、この「AI関連技術に関する事例について(説明資料)」ですが、記載要件:サポート要件および進歩性について、合計10件の事例を挙げて詳しく説明されています。

個人的には、AI関連技術に関しては、サポート要件が重要になるのではないかと思います。

それは、AIを使えばどのような情報処理も行えるのではないかと概念的には考えることができるからです。
(「何かデータを入れれば、最適な解が出力される」と言ったり、書いたりすることはできるからです。)

しかし、特許法36条4項1号(サポート要件)は、
「発明の詳細な説明は、当業者が、明細書及び図面の記載と出願時の技術常識とに基づき、請求項に係る発明を実施することができる程度に記載しなければならない。」
となっており、どのような処理がされているかをある程度具体的に明細書中に記載しておく必要があります。

したがって、明細書中に「AIにデータXを入力することで、最適なYが得られる」という表現だけでは、どのようにそれらが処理されたのか分からず、サポート要件を満たさないということになってしまいます。

そこで、この資料には、どのように記載すればサポート要件を満たすかについて、具体的な事例で説明がなされています。

例えば、事例46には、人相(人物の顔画像)とその人が育てた野菜の糖度について学習させたAIを用いた発明「人相とその人が育てた野菜の糖度に一定の関係性があることを用いて、人物の顔画像からその人物が野菜を栽培した際の野菜の糖度を推定するシステム」が開設されています。

結論としては、『発明の詳細な説明には、人物の顔画像とその人物が野菜を栽培した際の野菜の糖度について、「人相とその人が育てた野菜の糖度に一定の関係性がある」と述べられているにとどまり、人相を特徴付けるものの例として頭の長さ、頭の幅、鼻の幅、唇の幅が記載されているものの、具体的な相関関係等については記載されていない。そして、出願時の技術常識に鑑みてもそれらの間に何らかの相関関係等が存在することが推認できるとはいえない。また、実際に生成された判定モデルの性能評価結果も示されていない。』として、サポート要件を満たさない解説されています。

このように、概念的には実施できそうに思える発明であっても、特許にするには、具体的にどうやって処理するのかが明細書に記載されている必要があります。

AIを含む情報処理に関する発明は、物の発明と異なり、物理的制限がないため、概念的には作れそうに思ってしまうことが多いと思います。

このような発明を出願する際には、プログラムまで具体的に考える必要はありませんが、どのようなデータをどのように処理することによって、目的を達成できるかくらいまで具体的に考えておく必要があると思います。

このような言葉だけだとよく分からないと思いますので、是非「AI関連技術に関する事例について(説明資料)」を読んでみてください。

進歩性についても、具体的に解説されています。

弊所では、AI関連技術を用いた特許に関する相談も承っております。
AI関連技術を用いた特許について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。