中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料26

中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料26

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

最近、著作権に関する問い合わせが増えてきています。
著作権に関する意識が高まってきているのでしょうか?

中小企業経営者のための著作権マニュアルの表紙
引用:中小企業経営者のための著作権マニュアル

そこで、今回は、東京都知的財産総合センターが公表している「中小企業経営者のための著作権マニュアル」をご紹介します。

「中小企業経営者のための著作権マニュアル」はこちら

ちなみに、東京都知的財産総合センターとは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営している機関です。

このマニュアルは、「著作権の入門書」として利用してもらうことを目的に作成されています。
以前のブログで紹介した「著作権テキストよりも簡潔なものとなっています)

さて、このマニュアルの内容ですが、次のような目次となっています。

  1. 私たちと著作権
    1. 知的財産権と著作権
    2. 著作物って何ですか?
    3. 著作物の種類にはどんなものがあるの?
    4. 著作者の権利にはどんなものがあるの?(コラム「著作権」と「所有権」について)
    5. 著作者人格権って何ですか?(コラム「著作者死亡後の人格権」について)
    6. 著作権にはどんなものがあるの?
    7. 著作隣接権って何ですか?
    8. 著作物を無断利用できる場合は?
    9. 著作権の保護期間はどのくらい?(コラム「インターネットと著作権」について)
    10. 著作権の登録制度って何ですか?
  2. 『企業活動と著作権』~著作権ビジネスの時代へ~
    1. 企業経営における著作権の重要性は?
    2. ソフトウェアの著作権とは?
    3. キャラクターと著作権の関係は?(コラム「肖像権」について)
    4. 映像コンテンツの著作権とは?(コラム「映画の著作権」について)
    5. 公衆送信権って何ですか?
    6. プロバイダ責任制限法って何ですか?
    7. 著作権契約の留意点は?
    8. 著作権保護の国際条約にはどんなものがあるの?
    9. 著作権侵害に対する罰則にはどんなものがあるの?(コラム「海賊版」について)
    10. 著作物の正しい利用手順
  3. 資料
    1. 著作権関連機関リスト
    2. 東京都知的財産総合センターの事業内容

この目次を見れば分かるように、このマニュアルには、教科書に記載されているような基本的な事項から、契約書の留意点等の実務に出てくるような事項まで幅広く解説されています。

具体的な項目については、該当するページをご覧になっていただければよいと思いますが、このマニュアルのコラムを是非ご覧になってください!

実務的によく問題になる事項がコラムに簡潔にまとめられていますので、コラムを読めばそれがどういうものか分かるようになります。

例えば、コラム「著作権」と「所有権」には、次のように書かれています。

『例えば、ある画家が描いた一枚の絵があります。この絵を画商が買い取った場合、この絵(有体物)の所有権は画商に移りますが、著作権(無体物)は画家にまだ残っているとします。このような権利関係で、第三者がこの絵の画集を出版するために複写したい場合、絵を所有している画商には複製許諾の権利は無く、画家の許諾が必要です。このように、絵には「著作物」としての著作権と、「物」としての絵の所有権(財産権)があり別の権利です。ですから著作物を複製したり改変したり利用する時は、著作権と所有権がまったく別に分かれている場合と、一緒に付いている場合とがありますので、契約時にはそれぞれの確認と著作権の許諾が必要です。所有権は物(有体物)に対する支配権で著作権とはまったく別の権利です。』

このように、「著作権」と「所有権」との分かりにくい関係が、具体例を挙げて簡潔に解説されています。

この他に、弊所にもよく問い合わせのある「インターネットと著作権」についても、どのような点に注意する必要があるか分かり易く解説されています。

インターネット上でブログ等を使ったビジネスを行っている企業の担当者は是非ご覧になってください。どのような問題が生じる可能性があるか分かると思います。

このように、実務上も役立つ情報も記載されていますので、著作権に関係するビジネスを行っている企業の担当者は是非目を通してみてください!

なお、このマニュアルの「はじめに」の最後の部分にも記載されていますが、このマニュアルは大変有用ですが、”このマニュアルだけ”では著作権の十分な説明とは言えませんので、疑問点や具体的な事案については弁理士等の専門家にご相談することをお勧めいたします。

弊所では、著作権の有無から著作権に関する契約(ライセンス契約を含む)等のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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