技術契約の終了により会社名を変更した事例

技術契約の終了により会社名を変更した事例

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

コピーしている女性のイラスト以前のブログで、商標ライセンス契約の終了により会社名を変えなければならなくなった事例をご紹介しましたが、今回は技術契約の終了により会社名を変更した事例について書きます。

富士ゼロックス(Fuji Xerox)」というと、オフィスに置いてある、ちょっと大型の複写機を思い浮かべる方も多いと思います。
ちなみに、富士フィルムホールディングス株式会社の連結子会社です。

富士ゼロックスですが、2020年1月6日のプレスリリースによると、米国ゼロックス・コーポレーションとの間で締結していた技術契約(Technology Agreement)を2021年3月31日をもって終了することになったそうです。

そして、その終了に伴い、2021年4月1日から社名を「富士ゼロックス」から「富士フイルム ビジネスイノベーション」に変更するようです。

以前のブログにも書きましたが、社名を変更するということになると、会社のブランドを新たに構築するために、HP・商品パッケージ・チラシ等を新たに作成する必要があります。

これには多額の費用がかかりますが、富士ゼロックスのような大企業にとっては、あまり気にならないのかもしれませんが。(笑)

ちなみに、「XEROX\ゼロックス」という商標は、2020年1月時点で7つ商標登録されていますが、これらの商標権はすべて米国のゼロックス・コーポレーションが保有しています。
(富士ゼロックスという商標は登録されていないようです。)

「富士ゼロックス」という社名は広く知られていると思いますが、富士ゼロックス社は、資本関係がなくなった会社が保有する商標を一部に使っているのはブランド戦略上好ましくないと判断したのかもしれません。
(技術契約を終了する際に、社名を変更することを約束していたのかもしれませんが。)

なお、新しい社名である「富士フイルム ビジネスイノベーション」には「富士フイルム」という富士フィルムホールディング社が保有する著名な商標が使われています。
そこで、富士フィルム社は商標権上の問題はないと判断して、この社名自体は商標登録出願をしていないようです(2020年1月時点)。

ただ、こういう事例は珍しく、社名(商号)については、後々の問題を避けるためにも、商標登録しておくことをお勧めします。
(社名を決めるときには、商標調査をしておいた方が安心です。)

有名企業の社名が変わるとは、時代の流れを感じますね。。

商標ライセンス契約だけでなく、技術契約も、会社に多大な影響を及ぼす可能性があります。
これらの契約に不安のある方は、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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