「くん」などの敬称の有無が商標類否判断にどう影響するか-1

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今日は、台風一過ですがすがしい天気ですね。

最近、名前に関連する記事を書いてきましたので、今日は「くん」「ちゃん」「さん」などの敬称の有無が商標の類否においてどのように判断されているかについて書こうと思います。

まず、敬称の有無による商標の類否の判断について確定した基準はありません。審査では、類似すると判断されることもあれば、非類似と判断されることもあります。

では、類似と判断されたケースを見てみましょう。

商標登録異議申立事件(異議2011-900319)です。

登録商標第5415969号「瞬索くん」(指定役務第42類「電子計算機用プログラムの提供 etc. 」) に対し、下記の2件の登録商標と類似するという理由で異議申立がなされました。

商標「瞬索」(指定商品第9類「電子応用機械器具及びその部品 etc.」(登録第3205543号の1)
商標「Shunsaku」(指定商品第9類「電子応用機械器具及びその部品 etc」(登録第4729484号の1)

 

商標権者は、商標「瞬索くん」は、外観上一体不可分であり、「シュンサククン」の一連の称呼のみが自然に生じ、また、一体不可分の擬人化した愛称として「素早く検索することができるものの愛称」「素早く検索することができる人」という観念を生じ、引用商標とは外観、称呼、観念が相違すると主張しました。

しかし、特許庁の判断は次のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念が類似するというものでした。

・・・外観については、「くん」の文字の有無の差異が有り類似するとはいえないものの、「瞬索」の文字を共通にする点において外観上近似した印象を与える
称呼についてみると、本件商標から生ずる「シュンサククン」の称呼と引用商標から生ずる「シュンサク」の称呼とは、後半部の「クン」の音の有無の差異があるものの、称呼上重要といえる前半部において「シュンサク」の音を共通にしているから、近似した印象を与える

観念については、いずれも特定の観念を生ずるとまではいえないが、本件商標及び引用商標は、いずれも「瞬」と「索」からなるものとして印象若しくは、その各文字から「瞬く間に探し求める(もの)」程の意味合いを連想、想起するものである。

 

最終的に、商標「瞬索くん」は、2件の引用商標の指定商品に含まれる「電子計算機用プログラム」と類似する役務「電子計算機用プログラムの提供」について登録が取消されました。

今日は以上です。

 

 

 

 

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鈴木 徳子