共同研究契約書を検討する際に役立つ資料11

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、文部科学省が取りまとめた資料(共同・委託研究を中心とした発明者・出願人の考え方の整理等について)を紹介します。

共同で発明した時のイラストこの資料には、共同研究や委託研究を行った場合について想定例を設定し、その場合に発明者出願人が誰になるのかについて解説しています。

一方、今年(平成28年)の4月1日から改正特許法が施行され、職務発明規定等で予め会社に職務発明に係る特許を受ける権利の取得を定めた場合には、その特許を受ける権利は会社に発明の完成時から帰属することになりました(特許法35条3項)。

この資料は、改正特許法が議論される前に作成されたもの(一般財団法人経済産業調査会知的財産情報センター「知財ぷりずむ」2008年7月号掲載)ですので、改正特許法が施行された現在、この想定例をそのまま当てはめることはできなくなりました。

ただ、発明者の考え方はそのまま活用できると思いますので、紹介します。

この資料には、次の想定例について解説されています。

  1. A大学はB企業と共同研究契約を結んだが、企業側に担当する共同研究者がいない場合(派遣されてこなかった等
  2. B企業はA大学と委託研究契約を結び、設備(装置)、研究資金、研究テーマ等を提供したので、当然共同発明であり、共同出願にすべきとB企業は主張してきた・・・
  3. A大学の研究者aはB企業に対し技術指導を行い、結果として発明が創出されたが・・・
  4. A大学の研究者aはB企業から技術相談を受けた、又は、共同研究を持ちかけられたので、未公開の情報を開示したが・・・
  5. A大学の研究者aはB企業から奨学寄付金を受けたので、定期的に研究レポートを提供していたら・・・
  6. A大学の研究者αが学会発表をした。その発表したものを基にB企業は改良発明の出願をした・・・
  7. 指導している学生がよいアイデアを提案してきたので、指導教員名で出願したが・・・
  8. 教員が新たな機器を発注する際、研究内容、試験手順等を受注業者に事細かに説明したところ、その情報に基づいて、業者が無断で特許出願していた・・・
  9. 自分が発明したものだから自由に使えるはず・・・・
  10. A大学がB企業に不実施補償を求めたが、難色を示された・・・
  11. 共有特許について、B企業が実施をしないので、他の企業に実施権の許諾をしたいのだが・・・

これらの想定例はあくまで大学での事例を想定しているため、大学と企業との共同研究等だけにしか関係ないと思えるかもしれません。

しかし、発明者の考え方は大学でも企業でも変わりませんので、企業と企業との共同研究等にも適用できると思います。

発明者は誰かという問題は特許を受ける権利は誰に帰属するのかという問題に直結するので、改正特許法が適用されても非常に重要な問題です。

発明者が誰かということが問題になりそうでしたら、この資料を是非活用してください!

なお、共同研究契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。

今日は以上です。