海外知財訴訟費用保険制度が拡充されます!

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで、海外知的財産訴訟費用保険制度が創設されることを書きましたが、今回はその制度が拡充されることについて書きます。

拡充される内容は次のようになっています。

  • 保険対象地域の拡大
    • 保険対象地域が全世界に拡大(現在の制度はアジア地域のみ)
    • 保険対象地域を選択可能
  • プランの追加
    • 保険金支払限度額が、3,000万円と5,000万円のプランが追加(現在の制度は、500万円と1000万円のプランのみ)
  • 引受保険会社の追加
    • 三井住友海上火災保険株式会社が引受保険会社に追加

また、今回も補助金が用意されているようで、今回の保険加入時の掛金の1/2を補助してもらえるようです。

制度の枠組みの図

引用:経済産業省HP

さて、今回の拡充で注目すべき点は、保険対象地域が拡大されることではないでしょうか?

これにより、アジアだけでなく他の国、特にアメリカが保険対象地域に入ることになったので、この保険に加入する意義は大きくなったと思います。

アメリカでは、ディスカバリー※1、陪審員制度※2や三倍賠償制度※3等の固有の制度があります。これらの制度は特許権者の方に有利と言われており、特許権等の侵害訴訟が起こされる可能性が日本よりも高いと言われています。

また、アメリカでの訴訟は、日本よりも時間がかかり(地裁判決まで1年~3年程度)、訴訟に携わる弁護士費用も多額(数百万ドル)になると言われています。

したがって、アメリカで訴訟に巻き込まれると、中小企業にとっては大変な負担となります。

そこで、アメリカ等で訴訟に巻き込まれた際に、この保険が使えるのであれば、中小企業の海外進出リスクを減らすことができると思います。

このブログを書いている時点(2017年4月末)で、対象地域にアメリカ等を指定した際の保険料がいくらになるか不明ですが、自社の商品の輸出国で訴訟リスクが高いと思われるのであれば、この保険に加入してみては如何でしょうか?

今日は以上です。

 

※1 ディスカバリーとは、当事者が相手方や第三者に対して、証拠の開示を求めることができる米国の民事訴訟の手続をいう。

※2 陪審員制度とは、刑事訴訟や民事訴訟の審理に際し、一般国民から選ばれた陪審員が、当事者の主張や証拠を検討して事実認定を行う制度をいう。

※3 三倍賠償制度とは、懲罰的損害賠償制度であり、侵害被疑者が「故意」に知的財産権を侵害していたと認められた場合に、裁判所が懲罰的に賠償額を3倍まで増加させることができる制度をいう。