意匠審査基準の一部が改訂されました(2018)

意匠審査基準の一部が改訂されました(2018)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

昨年に引き続き、今年も意匠審査基準の一部が改訂されましたので、今回はそれについて書きます。

一部改訂された意匠審査基準はこちら

さて、今回改訂では、主に次の内容が改訂されました。
(詳細は、改訂審査基準を参照してください。)

  1. 意匠の新規性喪失の例外規定の適用に係る 運用の簡素化・明確化
  2. 願書及び図面の記載要件の緩和

まず、1.の「意匠の新規性喪失の例外規定の適用に係る 運用の簡素化・明確化」では、「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書」の書式例(下図参照)が記載されています。

意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の書式例
引用:意匠審査基準(平成30年4月27日改訂版)

以前の審査基準には全く記載されておらず、「なかなか利用しづらい」という利用者の声を受けて記載することになりました。

次に、2.の「願書及び図面の記載要件の緩和」ですが、底面図が不足する場合であっても、床面や卓上などに置いて使用するものや車両などの重量物のように通常は底面を見ら れることがなく、底面図がなくても願書及び図面の記載を総合的に判 断すれば、具体的な意匠の内容を導き出すことができる場合には、意匠が具体的であるものと認められることになりました。

これは、日本を指定する国際意匠登録出願において、底面図の記載が不足しているものや、そもそも図が不足しているというものがあったり、また意匠の説明の欄の記載がないもの等あり、このような意匠出願を何とかできないかということで改訂されました。

また、出願当初の願書に「部分意匠」の欄の表示及び意匠登録を受けようとする部分を特定する方法についての「意匠の説明」の欄の記載がなくても、願書に添付した図面等の具体的な表現によって、部分意匠の意匠登録出願に関するものであること及び「意匠登録を受けようとする部分」が明らかな場 合にも、意匠が具体的であるものと認められることになりました。

これも、日本を指定する国際意匠登録出願において、部分意匠の意匠登録を受けようとする部分を特定する方法を書いた説明がないものに関するものが多く、このような意匠出願を何とかできないかということで改訂されました。

これら、特に2.の「願書及び図面の記載要件の緩和」の改訂によって、救われる意匠登録出願が増えることが予想されますが、これはあくまで救済手段であって、原則は6面図を願書にキチンと添付したり、「意匠の説明」の欄にその意匠についてキチンと説明しておくことが重要です。

意匠に限らず、産業財産権は、出願当所の願書およびその添付資料がすべてで、後から資料等を追加することは非常に難しいことに留意してください。

弊所では、意匠登録出願だけでなく、国際意匠登録出願の出願代理業務も行っております。
これらについて何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

 

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