秘密保持義務と独占禁止法

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

秘密保持義務と独占禁止法が関係あることをご存知ですか?

公正取引委員会が、平成30年2月15日に公表した「人材と競争政策に関する検討会」報告書には、秘密保持義務と独占禁止法との関係についての記載があります。そこで、今回はそれについて書きます。

なお、平成30年5月16日に開催されたこの報告書に関する説明会に参加したところ、200名くらいの方が参加されていました(下の写真参照)。

説明会の写真

この説明会に参加者が、主に秘密保持義務と独占禁止法との関係に興味があったとは思いませんが、この報告書に関する関心が高いことが分かりました。

さて、この報告書ですが、次のような背景があることから作成されました。

  • 個人の働き方の多様化に伴う「個人として働く者」の増加、今後のさらなる働き方の多様化の進展
  • シェアリングエコノミーに関する市場が拡大するとの予想
  • 労働人口減少等により深刻な人材不足問題が起こると、人材の獲得をめぐる競争を制限する行為の可能性

このような背景と、秘密保持義務が関係するの?と思われるかもしれませんが、次の2つの場合には、独占禁止法上問題になる可能性があるということです。

  1. 発注者が役務提供者に対して、発注者への役務提供を通じて知り得た技術や顧客情報といった営業秘密やその他の秘密情報(以下、営業秘密と併せて「営業秘密等」という。)を漏洩しないことを内容とする秘密保持義務を課す場合
  2. 使用者が、退職する労働者に対して、在職中に知ったその他の秘密情報の漏洩防止を目的として、退職後における秘密保持義務を課す場合

そして、報告書では、上記のような場合における独占禁止法のポイントとして、次のように説明されています。

  • 自由競争減殺の観点からは、発注者(使用者)が、営業秘密等の漏洩防止の目的のために合理的に必要な(手段の相当性が認められる)範囲で秘密保持義務又は競業避止義務を課すことは、直ちに独占禁止法上問題となるものではない
  • 競争手段の不公正さの観点からは、発注者(使用者)が役務提供者に対して義務の内容について実際と異なる説明をし、又はあらかじめ十分に明らかにしないまま役務提供者が秘密保持義務又は競業避止義務を受け入れている場合には、独占禁止法上問題となり得る
  • 優越的地位の濫用の観点からは、優越的地位にある発注者(使用者)が課す秘密保持義務又は競業避止義務が不当に不利益を与えるものである場合には、独占禁止法上問題となり得る

詳細は、この報告書を読んでいただくこととして、個人事業主(フリーランス)等と秘密保持義務を含む業務委託契約等を締結する際には、その秘密保持義務について十分な説明をしなかった場合には、独占禁止法違反となる可能性があります。
また、秘密保持義務の内容によっても、独占禁止法違反となる可能性があります。

今までは、秘密保持義務と独占禁止法はほとんど関係ないと思われていましたが、今後は秘密保持義務を含む契約を締結する際に、「独占禁止法に違反しませんか?」と言われる可能性があります。

これを機に、秘密保持義務を含む契約のひな形を見直してみては如何でしょうか?

弊所では、サンプル提供契約(MTAを含む)、共同研究契約書、ライセンス契約書(使用許諾契約書)や譲渡契約書等に関するご相談も承っております。
これらの契約書について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。