大学ファクトブックをご存知ですか?

大学ファクトブックをご存知ですか?

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」をご存知でしょうか?

2018年5月16日に、経済産業省から「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」が公開されたので、今回はこれについて書きます。

さて、この大学ファクトブックですが、一般社団法人日本経済団体連合会、経済産業省および文部科学省が、大学と企業とのマッチングを一層促進し、本格的な産学官連携活動の実現に資することを目的に取りまとめられました。

2017年4月にパイロット版が公表されていましたが、今回、その内容を拡充し、327大学(国立大学82校、公立大学57校、私立大学188校)の情報をまとめ、正式版として公表されました。

具体的な資料としては、次の3つになります。

ちなみに、「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」のファイルサイズは220 MB 以上もありますので、ダウンロードする際には注意してください。

さて、この大学ファクトブックには、各大学に関する次のようなデータが掲載されています。

  1. 産学連携に関する窓口情報等
  2. 大学全体の経営理念における産学官連携活動の取り組み方針、および、産学官連携活動について今後重点化したい事項
  3. 産学連携の本部機能等に関する情報
    1. 各種規程類の整備状況
    2. 産学連携業務分担
    3. リサーチアドミニストレーター(URA)職務従事状況
    4. コーディネーター職務従事状況
  4. 共同・受託研究実績
  5. 特許出願・活用実績
  6. 本格的な共同研究に向けた取組
  7. 大学の得意分野とその具体例
  8. 資金、資産の取り扱い状況
    1. 運営費交付金
    2. 科研費・その他政府系資金・民間資
    3. 株式保有・ストックオプション
    4. 間接経費割合
  9. 知財関連の取り扱い状況
    1. 職務発明
    2. 不実施補償の扱い
    3. 大学発ベンチャー数
    4. 支援ファンド
  10. クロスアポイントメント(※)の状況
  11. 組織的産学官連携活動における取組方針等及び取組事例

※クロスアポイントメントとは、研究者等が2つ以上の機関に雇用されつつ、それぞれの機関において「常勤職員」としての身分を有し、本部として研究・開発および研究に従事することを可能とする仕組みをいう。

この表を見れば、各大学の懐事情から、特許出願数や知的財産収入等がすぐに分かるようになっています。

大学との共同研究を考えている企業側からすると、各大学の得意分野や、共同研究および受託研究の際に大学に支払う費用、不実施補償の取り扱い等が気になるところだと思いますが、それらの情報も掲載されています。

たとえば、東京大学の技術分野別出願分布のデータを見てみましょう。

技術分野別出願分布
引用:産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック

このグラフを見ると、武器・爆破、紙、マイクロ構造技術・ナノ技術を除いて数多くの特許出願がなされていますので、様々な技術を保有していることが分かります。
さすがは東大ですね!

次に、共同研究数と金額との関係のグラフを見てみましょう。

共同研究数と金額との関係
引用:産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック

このグラフを見ると、共同研究費が100万円以下のものも多いですが、300万円~500万円の間のものが最も多いことが分かります。
ちなみに、共同研究費が1億円以上のものも2件あります!

最後に、不実施補償の取り扱いですが、東大では、原則、不実施補償は求めないが、場合によっては不実施補償を求めることがあるようです。

このように、共同研究を検討する上で必要となる情報が各大学ごとにまとめられています。

また、この他の掲載項目ランキングや、掲載データ総括表にも、これらの資料でしか入手できない様々な情報が掲載されています。

大学との共同研究を考えている方は、是非目を通して見てください。
各大学の共同研究費の相場?のようなものも分かりますよ!

弊所では、共同研究契約からライセンス契約まで、知的財産に関する契約書の作成から交渉代理まで幅広いサポートを行っております。
これらの件で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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