特許異議申立の統計情報(2019)

特許異議申立の審理結果(2019)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

特許庁が、特許異議申立の審理結果(申立日が平成27年4月~平成29年9月末までのもの)の統計情報を公表したので、今回はそれについて書きます。

現在の特許異議申立制度は、平成27年4月から始まったものですので、特許異議申立制度の全統計データということになります。

特許異議申立の審理結果の詳細はこちら

さて、その結果ですが、次のグラフのようになっています。

特許異議申立の審理結果のグラフ
引用:特許庁HP

これらのデータを見ると、登録された請求項のまま特許が維持される割合は35%、何等かの訂正を行って特許が維持される割合は50.5%、異議申立の対象請求項の全てまたは一部が取り消されたものが11.3%、そして異議申立の対象請求項が全て削除されたことにより異議申立が却下されたものが0.9%、残りは審理中となっています。

すなわち、特許異議申立が行われた特許の65%(審理中の案件を除く)は、取り消されたり、訂正が必要ということになります。
かなり高い割合ですね!

そして、特許異議申立された特許分野の内訳は次のようになっています。

特許異議申立のIPC分野のセクション毎の審理結果のグラフ
引用:特許庁HP

文字が小さくて見づらいと思いますが、特許異議申立件数が最も多い分野は、化学:冶金となっています。

これは、科学の分野は、構成元素のの組み合わせや、構成元素の濃度等のようなパラメータによって発明が特定されることが多いので、先行文献が見つかり易いからなのではないかと個人的には思っています。

このようなデータからいろいろ考えることができますね!

特許異議申立制度は、無効審判制度よりも費用はかかりませんし、特許権を適正な範囲に訂正することができる有用な制度です。

競合会社の特許権の範囲が広すぎると思われる場合に、是非活用してみては如何でしょうか?

弊所では、特許異議申立手続の代理も行っております。
特許異議申立について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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