「渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集」が公表されました

「渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集」が公表されました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集の表紙
引用:渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集

令和2年(2020年)6月に、経済産業省から「渉外事案の適用関係の概略と 民事訴訟における考えられる 主張ポイント集」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。

「渉外事案の適用関係の概略と 民事訴訟における考えられる 主張ポイント集」はこちら

このポイント集は、不正競争防止法が規定する行為類型毎に、特に民事訴訟を念頭に置いて日本の裁判所において、日本法を適用した解決を図りたいと考えた場合を想定し、このような当事者の意図・目的を実現するためには、どのような主張を行うことが有効であるかという「主張のポイント」をまとめたものです。

さて、このポイント集の内容ですが、次のような目次となっています。

  1. はじめに
  2. 渉外事案への法律の適用
    1. 国際私法(準拠法の選択)
    2. 国際裁判管轄
    3. (参考)渉外事案への刑事罰の適用に関する考え方の整理
  3. 不正競争類型別の渉外事案についての不正競争防止法の適用関係(民事・刑事)と民事訴訟での主張の方策
    1. 事例1-1 営業秘密にかかる事例① 従業員の持ち出し事案(企業Xが被害者のケース)
    2. 事例1-2 営業秘密にかかる事例①従業員の持ち出し事案(企業Xが加害者とされ反論を行うケース)
    3. 事例2-1 営業秘密にかかる事例② サーバからの漏えいの事案(企業Xが被害者のケース)
    4. 事例2-2 営業秘密にかかる事例② サーバからの漏えいの事案(企業Xが加害者とされ反論を行うケース)
    5. 事例3-1 営業秘密にかかる事例③ 支社からの漏えい事案(企業Xが被害者のケース)
    6. 事例3-2 営業秘密にかかる事例③ 支社からの漏えい事案(企業Xが加害者とされ反論を行うケース)
    7. 事例4 限定提供データにかかる事例提供先からの漏えい事案
    8. 事例5 技術的制限手段にかかる事例① 無効化装置の提供事案
    9. 事例6 技術的制限手段にかかる事例② 不正シリアルコードの提供事案
    10. 事例7 技術的制限手段にかかる事例③ 無効化サービスの提供事案
    11. 事例8 商品等表示(周知表示)にかかる事例 海外サーバ上での商品等表示使用事案
    12. 事例9 商品等表示(著名表示)にかかる事例 海外サーバ上での商品等表示使用事案
    13. 事例10 形態模倣品侵害にかかる事例 海外での形態模倣品販売事案
    14. 事例11 信用毀損にかかる事例① 海外取引先への虚偽事実告知事案
    15. 事例12 信用毀損にかかる事例② 海外外サーバ上での虚偽事実流布事案

そして、これらの事例について、次のような構成で、どのような主張ができるかが解説されています。

内容の構成に関するイラスト
引用:渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集

このポイント集は、対象事案として渉外事案を想定していますので、この資料を理解するには、①準拠法の選択や、②国際裁判管轄に関する考え方を理解しておく必要があります。

でも心配する必要はありません。

このポイント集の最初の方に、①準拠法に関する考え方と、②国際裁判管轄に関する考え方が整理されていますし、次の表に示すように、どの不正競争行為にはどの考え方(説)を適用すべきかが整理されています。

国際裁判管轄の判断のポイント
引用:渉外事案の適用関係の概略と民事訴訟における考えられる主張ポイント集

渉外事案は、通常の民訴法に加えて、国際私法も考慮する必要があるため、民事訴訟ではどのような主張を行えばよいか分からない場合もあると思います。

そのような場合には、是非このポイント集に収録されている事案の中で最も近いものを読んで、実際の訴訟に役立ててみてください!

弊所では、渉外事案における不正競争防止法のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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