ミャンマーに続き、注目度の高いラオス情報です 3. 知財

 

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今日はラオスの知的財産権についてです。

私はいままで、全世界の商標案件に関わってきましたが、ラオスに関しては出願をするクライアントが殆どなく、ラオス案件は数え切れるほどしか扱ったことがありません。しかし、今後はこのような状況も変わってくるのではないかと思っています。

 

ラオスには2007年成立の「知的財産法」があり、この法律の中で、特許、小特許(実用新案)、意匠、商標、地理的表示、著作権、不正競争防止法、営業秘密、集積回路の回路配置、植物品種が包括的に規定されています。

詳細は、特許庁の外国産業財産権制度情報(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm)で見ることができます。

知財の管轄は、科学技術省知的財産局(Department of Intellectual Property)です。

 

ラオスは、WIPO(世界知的所有権機関)、パリ条約、PCTの加盟国です。

また、WTO(世界貿易機関)に今年の2月に正式加盟しましたが、TRIPS協定(知的財産の貿易側面協定)に関しては、後発途上国に認められた特別措置に従い、2016年12月31日までに実施することとされ、履行期限が猶予されています。

 

JETROが発表した統計(2004年~2012年9月まで)によると、特許の出願件数は年間数十件にすぎず、登録件数は今まで0件です。雑誌「The Invention 2013 No.9」の記載によると、ラオスは「特許出願の実体審査を自らは行っておらず、出願人は対応外国出願の審査結果を提出する必要があり、そのような情報が得られない場合は、WIPOによる先行技術調査支援制度を利用する」そうです。意匠も同様に、出願件数は年間数十件、登録件数も多い年でも35件程です。

 

商標についてだけは、ここ10年で年間1,500~2,500件位の出願件数があり、登録件数も平均で年間1,500件位です。事実上、審査が機能しているのは商標だけのようです。

 

侵害に対する救済としては、民事、刑事、行政措置がありますが、JETROの発表した統計によると、民事事件、刑事事件数は皆無と言ってもよいレベルです。行政的救済については、1994年から2012年までの総数で65件程です。

 

ラオスは地勢的に、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、中国に囲まれており、模倣品も実際に出回っているようですが、上述のとおり、知財制度は十分に機能しておらず、国民の知的財産権に対する意識も低いというのが現状です。

しかし、日本、中国、韓国、フランス、オランダなど様々な国の企業がラオスに進出しているという背景もあり、日本の特許庁をはじめ、米国、中国、韓国なども知財に関する支援(審査協力など)を行っています。

今後急ピッチで知財整備が進められると思われます。ラオスへの出願件数もそれに伴い、増加すると思います。

今後も、知財整備の進展を注力していきます。

 

今日は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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鈴木 徳子