商標審査基準が全面改訂されました(2017)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今般、およそ2年間の検討を経て、商標審査基準が全面改訂されたので、それについて書きます。辞書のイラスト?

商標審査基準〔改訂第13版〕はこちら

特許庁のプレスリリースによると、改訂された商標審査基準〔改訂第13版〕の改訂のポイントは次の6点となっています。

  1. 公益的な機関等(商標法第4条第1項第1号から第5号)、登録品種(商標法第4条第1項第14号)、ぶどう酒等の産地(商標法第4条第1項第17号)について、対象となる標章の例示、類否判断基準を追加・修正、法文上の語句についての解釈を明記。
  2. 公序良俗違反について、裁判例を参考に、本号に該当する場合についての類型及び該当例を明記(商標法第4条第1項第7号)。
  3. 他人の氏名又は名称等について、裁判例を参考に、本号に該当する「他人」の範囲、著名性の判断基準等を明記(商標法第4条第1項第8号)。
  4. 類否判断(外観・称呼・観念の類否、商品・役務の類否、結合商標の類否、取引の実情の考慮)について、基本的な考え方を記載し、外観、称呼、観念の各要素の判断基準を明確にすると共に、例示の追加、見直し。
    また、出願人と引用商標権者に支配関係があり、かつ、引用商標権者が出願に係る商標が登録を受けることについて了承している場合は、本号に該当しない取扱いを明記(商標法第4条第1項第11号)。
  5. 他人の周知商標(商標法第4条第1項第10号)、商品又は役務の出所の混同(商標法第4条第1項第15号)、他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標(商標法第4条第1項第19号)について、基準の趣旨を明確にするなど構成面からの見直し。
  6. 商標権管理の利便性向上のため、同一人が同一の商標について出願した場合に、当該出願の指定商品又は指定役務全てが、先願(又は先登録)に係る指定商品又は指定役務と同一の出願をした場合に限り、「商標法第3条の趣旨に反する」との拒絶の理由を通知する取扱いを明記。

まず1.について確認してみたところ、具体例が差し変わり、かつ条文中の用語の説明が追加されており、12版と比較すると分かりやすくなっています(特に4条1項1号~3号、14号、16号)。

2.については、新しく次のような具体例が追加されており、分かりやすくなりました。

①「大学」等の文字を含み学校教育法に基づく大学等の名称と誤認を生ずるおそれがある場合。
②「○○士」などの文字を含み国家資格と誤認を生ずるおそれがある場合。
③周知・著名な歴史上の人物名であって、当該人物に関連する公益的な施策に便乗し、その遂行を阻害する等公共の利益を損なうおそれがあると判断される場合。
④国旗(外国のものを含む)の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する場合。
⑤音商標が、我が国でよく知られている救急車のサイレン音を認識させる場合。
⑥音商標が国歌(外国のものを含む)を想起させる場合。

3.については、「他人」に、自然人(外国人を含む。)、法人のみならず、権利能力なき社団が含まれることが明示されています。

4.については、類否判断における商標の「外観」「称呼」「観念」ぞれぞれの認定の記載が追加されています。また、各認定に関する具体例も追加されています。

5.については、各条項の文言の解釈等が追加されています。

6.については、『同一人が同一の商標(縮尺のみ異なるものを含む。)について、その指定する商品又は役務がすべて同一の商標登録出願をしたと認められるときは、第68条の10の規定に該当する場合を除き、原則として、後願について「商標法第3条の趣旨に反する。」との拒絶の理由を通知するものとする。』等の記載が追加されています。

全体として、分かりやすくなっていると思いますので、商標の実務に関わっている方は一度目を通しておいた方がいいと思います。

あと、弁理士試験受験生も是非目を通してください!
筆記試験の解答に、商標の類否に関する具体例の記載を求められるかもしれませんよ(現在は知らないのですが、昔は求められることがありました)。

なお、改訂された商標審査基準(商標審査基準〔改訂第13版〕)は、平成29年4月1日以降の審査に適用されます。

今日は以上です。