中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料19

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、公益財団法人佐賀県地域産業支援センターが取りまとめた資料(知財相談事例集Q&A)をご紹介します。

知財相談事例集Q&A 表紙

引用:知財相談事例集Q&A

事業を行っていると、ときどき知的財産に関する悩みや疑問があると思います。その時に、気楽に相談できる弁理士等がいればよいのですが、いない場合はどうしていますか?

現在は、各都道府県に「知財総合支援窓口」が設置されていますので、そこに相談されるのもいいと思います。

ただ、相談窓口まで行くまでもない(切羽詰まった状態ではない)ということもあると思います。

この「知財相談事例集Q&A」は、そのようなときに役立つ資料になります。

実際、知的財産に関する悩みや疑問は多岐にわたりますが、多くの中小企業が同じようなことに悩んでいることが多いです。

そこで、佐賀県の「知財総合支援窓口」となっている公益財団法人佐賀県地域産業支援センターが受けた相談の中から、問い合わせが多かった事例を中心に体系的に整理して、この「知財相談事例集Q&A」を作成したようです。

さて、この事例集ですが、次の60の問い合わせとその回答が記載されています。

  1. 知的財産(制度)や産業財産(制度)の概要
    1. 知的財産、あるいは産業財産権という言葉を耳にするのですが、どのような権利なのでしょうか?
    2. 特許や意匠や商標等の産業財産権を取ると、企業にとってはどんな利点がありますか?
    3. 自社の技術を社内で秘密にしておくノウハウがありますが、ノウハウと特許権等との違いを教えてください。
    4. 著作権にはいろいろな種類があってわかりづらいので、違いを教えてください。
    5. 不正競争防止法とはどういうものですか? また、産業財産権法とどう違うのですか?
    6. 従来のものより収穫量の多い農産物を作り出すことに成功したのですが、このような植物の品種改良を保護する制度の概要を教えてください。
  2. 開発・発明段階に生ずる知的財産権の問題点と対応
    1. 会社で新しい商品を開発したのですが、どのように保護し、どの段階で対応したらいいのですか?
    2. 出願する前に試作品を他人に見せ、業界紙に発表したら、「公にしたらダメだ」と言われたのですが、権利は取れませんか?
    3. 他人の登録商標を付した製品を国内で製造できますか?
    4. 従業者が考えた発明・考案や意匠(デザイン)を会社で商品化したいのですが、従業者への補償はどうすればいいでしょうか?
    5. 県立高校の生徒や教諭がクラブ活動の一環で為した発明を、県が承継できるのでしょうか?
    6. 当初契約のない共同開発において権利を得る方法はあるのでしょうか?
    7. 清算中の企業が保有する共有特許の持ち分はどうなるのですか?
  3. 産業財産権の情報・調査
    1. 商品としては世の中に出ていないのですが、他人が自分と同じ発明などを既に出願しているかどうかは、どういう方法で調べられますか?
    2. 特許公報、登録実用新案公報、意匠公報や商標公報等の情報は、どのようにして入手するのですか?
    3. 意匠の調査について教えてください。
  4. 特許・実用新案の取得のための手続
    1. 特許出願をしたいのですが、弁理士(特許事務所)に依頼することを薦められました。初めてなので、どうしたら良いですか? その人選も含めて教えてください。
    2. 既に商品としてあるものを改良したのですが、特許にはなりませんか?
    3. 特許出願から特許権になるまでの、流れや仕組みを教えてください。
    4. 実用新案の出願から権利になるまでの、流れや仕組みを教えてください。
    5. 実用新案における技術評価書について教えてください。
  5. 意匠・商標の取得のための手続
    1. どのようなものが意匠として保護されるのですか?
    2. 意匠の出願から権利になるまでの、流れや仕組みを教えてください。
    3. 意匠を秘密にしておく制度があると聞きました。 どのようなものでしょうか?
    4. 物品の部品や部分も意匠として保護してもらえますか?
    5. 先のデザインに基づいて新しく開発したデザインは、どうすれば保護されますか?
    6. 特許権と意匠権が重複する場合があるのでしょうか?
    7. どのようなものが商標として保護されるのですか?
    8. 商標の出願から権利になるまでの、流れや仕組みを教えてください。
    9. 地域団体商標を加工品に表示することはできるのですか?
    10. 商品についてネーミングする際の注意点を教えてください。
    11. 商標と商号の違いは何ですか?
  6. 産業財産権の出願に関する費用
    1. 特許等を出願するとき費用はいくらぐらいかかりますか? 弁理士に依頼したときの費用も教えてください。
    2. 外国出願をしたいと考えていますが、欧米、及びアラブ諸国に出願する場合、概算費用はどれくらいでしょうか?
  7. 特許庁の支援策
    1. 出願するときや権利を取った後も費用がかかりますが、費用を削減、または免除される支援制度があると聞きましたが、教えてください。
    2. 出願してから権利になるまでどのくらいの期間がかかるのですか、早く権利を取りたいのですが、方法があったら教えてください。
  8. 産業財産権の維持
    1. 登録(特許)となったのですが、権利が保護される期間を教えてください。
    2. 死亡した祖父の特許権を孫へ移転するにはどうしたらいいのですか?
    3. 特許料の納付期限が過ぎてしまった場合の救済策は無いのですか?
  9. 産業財産権・産業財産権の係争(模倣・訴訟)
    1. 他人が自分の権利を無断で使って商品を作って販売しているのですが、どのように対応したらいいのですか?
    2. 新しく販売した商品に、特許を無断で使っているとクレームをつけられましたが、どう対応したらいいのですか?
    3. 特許権等の権利を取得しても、権利侵害となることがあるのでしょうか?
    4. 意匠権の侵害であるかどうかは、どのように判断するのでしょうか?
    5. 部分意匠の意匠権の効力は全体意匠に及ぶのでしょうか?
    6. 自分の意匠が他人の意匠と類似している(似ている)かどうかは、どう判断したらいいのですか?
    7. 自分の商標が他人の商標と類似している(似ている)かどうかは、どう判断したらいいのですか?
    8. 商品が類似している(似ている)かどうかは、どう判断したらいいのですか?
    9. 自社の商品と見た目がそっくりな商品が販売されています。自社では意匠登録をもっていませんが、その販売を差し止めることはできないでしょうか?
    10. わが社が販売する塗料の登録商標「アトニン」と同一の商標を、化粧品に使用している者がいます。これを止めさせることはできるでしょうか?
    11. 著作権の侵害であるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか?
    12. 他人が撮影した写真をホームページに無断で掲載したのですが、問題があるのでしょうか?
  10. 産業財産権の活用(実施・ライセンス・移転等)
    1. 特許権や意匠権等を第三者に譲渡したり、ライセンスしたりする場合の注意点を教えてください。
    2. 特許ライセンス料率について相場観があれば教えてください。
    3. 実用新案登録されて公報が発行され、また発明展で入賞したところ、民間業者より有料で技術紹介紙への掲載を勧誘されましたが、期待しても良いものでしょうか?
    4. 自分では商品化や販売ができないので、アイデアや権利を他の企業にライセンスするか譲りたいと考えていますが、どのようにしたらいいでしょうか? その際の対価に相場はありますか?
    5. 特許権を取ったところ、使わせて欲しいと申し入れがあったのですが、どのようにしたらいいでしょうか?
    6. 特許発明等を宣伝する機会はありますか?
  11. 外国出願(外国特許の活用)
    1. 外国へ出願したいのですが、その概要、注意点、費用等を教えてください。
    2. 外国で商標権を取得したいのですが、どのような方法がありますか?
    3. 外国で特許権を取ることによって、どんなことが期待されますか?

どうでしょうか?
皆さんの悩みや疑問のいくつかは記載されているのではないでしょうか?

ただし、この事例集は平成25年度に作成されたものであり、一部の情報が古くなっている点に注意してください。

たとえば、「職務発明」については平成27年に改正されており、現行法と異なった記載となっています。

また、この事例集では、「特許電子図書館(IPDL)」を使って産業財産権に関する情報を調べることができると記載されていますが、IPDLはすでに廃止されており、現在は「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を使う必要があります。

このように、一部の情報が現状に当てはまらなくなっていますが、産業財産権等の制度の大まかな仕組みや考え方は現在も変わっていません。

どこかに相談する前に、この事例集で確認することによって、余計な時間や費用を削減することができるかもしれません。

是非、ダウンロードしてみてください!
弊所では、この事例集に記載されていないような個別の悩みや疑問のご相談にも対応しております。
何かありましたら、是非ご相談ください。

今日は以上です。