地理的表示保護制度登録申請マニュアルが公表されました

地理的表示保護制度登録申請マニュアルが公表されました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

地理的表示保護制度登録申請マニュアル 表紙
引用:地理的表示保護制度登録申請マニュアル 表紙

以前のブログで地理的表示保護制度登録申請マニュアル案のパブコメの募集が行われていると書きましたが、平成30年(2018年)3月に、農林水産省から地理的表示保護制度登録申請マニュアルが公表されましたので、今回はそれについて書きます。

地理的表示法が施行されてから約3年が経ち、やっと登録申請マニュアルが作成されました!

弊所では、地理的表示法の施行日(2015年6月1日)に農林水産省に実際に赴いて「伊予生糸」の申請代理を行いましたが、その際にはほとんど情報がなかったので、地理的表示に登録されるまで非常に苦労しました。

当時は、農林水産省の方でも手探りで審査を行っていたと思われるので仕方が無かったのかもしれません。

今回公表された登録申請マニュアルは、3年間審査で得られた知見を基に作成されていると思うので、これを読めばスムーズに書類作成を行えるようになるのではないでしょうか?

さて、この登録申請マニュアルの内容ですが、次のような目次になっています。

  1. 地理的表示保護制度の概要
    1. 本書の目的
    2. 農林水産分野における知的財産
    3. 地理的表示(GI)について
    4. GI法について
    5. GI法に基づく登録の主たる要件について
    6. GI法に基づき登録された産品の保護(規制内容等)
    7. GI法に基づく海外との相互保護について
  2. 真正から登録までの流れ
    1. 申請
    2. 審査
  3. 申請書および明細書の作成方法
    1. 申請書の様式
    2. 申請書の記載項目
    3. 明細書の作成方法
  4. 生産工程管理業務規程の作成方法
    1. 生産工程管理業務とは
    2. 生産工程管理業務の実施に当たり満たすべき事項
    3. 生産工程管理業務規程の作成方法
  5. 登録後の留意点
    1. 生産者団体・生産業者・流通事業者・輸入業者等の義務
    2. 地理的表示及びGIマークの表示ルール概要
    3. 広告やメニュー等におけるGIマークの使用
    4. 登録免許税の納付
    5. 登録後に手続が必要になるケース
    6. GI法に基づく登録の失効及び取消
  6. 地理的表示保護制度申請マニュアルQ&A

この登録申請マニュアルで、申請書類のポイントとなる箇所というと、やはり3.の明細書の作成方法と、4.の生産工程管理業務規程の作成方法だと思います。

特に、「農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由」をどのような記載とするかで苦労しました。

この登録申請マニュアルでは、「産品の特性と生産地の結びつきについて」という項目を設け、次のように解説されており多少は分かり易くなっていると思います(実際に記載しようとすると、具体的にどのように論理づけることが大変ですが。。)。

「地理的表示に登録されるためには、その地域で生産するからこそ産品の特性が付与・維持されるという、特性と地域の結び付きが必要になります。

例えば、北アルプスの豪雪地帯で、マイナス20℃以下にもなる厳しい冬の寒さを利用して干し上げることで 独特の品質に仕上がる「奥飛騨山之村寒干し大根」のように、地域の気候や土壌などの自然条件によって特 性が獲得される産品が考えられます。また、生産地との結び付きは、気候や土壌等の自然的要素のみならず、 地域独自の品種(系統)を守り続け、他地域に流出しないように管理していた「山内かぶら」や、短時間で小鯛の鮮度を失わないまま処理するという、地域の生産業者に伝統的に受け継がれてきた熟練した手法により特性が生まれる「若狭小浜小鯛ささ漬」のように、地域の伝統的な製法を使用していること等の人為的要素も考えられます。

社会的評価を特性とする場合、評価を受けるに至った産品の優良な品質や歴史的・文化的な背景をどの ように育んできたのか等、地域としての取組内容を記載してください。」

この他にも有用な解説がたくさん記載されています。

これから地理的表示保護制度に登録申請しようと考えている人は、是非この登録申請マニュアルを参考にしてみてください!

弊所では、地理的表示保護制度の申請代理サービスを行っております(中途からの受任も承ります)。
申請を考えている団体の方は、是非ご相談ください。

今日は以上です。

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