農業分野におけるデータ契約ガイドラインが公表されました

農業分野におけるデータ契約ガイドラインが公表されました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

農業分野におけるデータ契約ガイドライン
引用:農業分野におけるデータ契約ガイドライン

先日、農林水産省から「農業分野におけるデータ契約ガイドライン」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。

以前のブログに農業はノウハウのカタマリだと書きましたが、人工知能(AI)を活用して農産物の生産ノウハウ等を形式知化し、知的財産として活用しようという社会の流れがあります。

そこで、農林水産省は、農業分野の特殊性を考慮し、農業現場の実態に沿ったデータの提供・利活用のルールをまとめた「農業分野におけるデータ契約ガイドライン」を作成しました。

さて、このガイドラインですが、次のような内容となっています。

  1. 総論
    1. 目的
    2. 経済産業省「AI・データ契約ガイドライン データ編」等との関係
    3. データ流出や不正利用を防止する各種手段
  2. 本ガイドラインの対象範囲
  3. 契約当事者および対象読者に関する留意点
    1. 契約当事者に関する問題点
    2. 対象読者に関する留意点
  4. 「データ提供型」契約のモデル契約書案
    1. データ提供型契約の意義
    2. 定義規定
    3. 提供データ等の提供方法
    4. 提供データ等の利用許諾または譲渡
    5. 対価・支払条件
    6. 提供データ等に関する保証および非保証
    7. 責任の制限等
    8. 利用状況の報告および監査
    9. 提供データ等の管理
    10. データ漏えい等の場合の対応及び責任
    11. 秘密保持義務
    12. 派生データ等の取扱
    13. 有効期間
    14. 契約解除
    15. 不可抗力免責
    16. 権利義務の譲渡禁止
    17. 通知
    18. 存続条項
    19. その他の一般規定
  5. 「データ創出型」契約のモデル契約書案
    1. 「データ創出型」契約の意義
    2. 「データ創出型」契約における課題
    3. 定義規定
    4. 当初データ等の取得
    5. 当初データ等の利用権限等
    6. 派生データの利用権限等
    7. 当初データ等および派生データの非保証
    8. 利用権限の配分に対する対価等
    9. 報告・監査等
    10. 相手方受領データの管理
    11. データ漏えい等の場合の対応及び責任
    12. 責任の制限等
    13. 秘密保持義務
    14. 新たなデータ創出の場合の対応
    15. 有効期間等その他一般規定
    16. 契約の解除
    17. 不可抗力免責
    18. 権利義務の譲渡禁止
    19. 通知
    20. 存続条項
    21. その他の一般規定
  6. 「データ共用型」規約のモデル契約書案
    1. 「データ共用型」契約の意義
    2. 「データ共用型」契約における検討事項
    3. 定義規定
    4. プラットフォームの利用許諾
    5. 提供データの提供方法
    6. 提供データに関する適切な取得および保証/非保証
    7. データ提供者による提供データのデータ利用者への提供
    8. データ利用者による提供データの利用
    9. 提供データの管理
    10. プラットフォーム事業者の運営責任等
    11. プラットフォーム事業者による利用サービスの提供
    12. 責任の制限等
    13. 派生データ等の取扱
    14. データ漏えい等の場合の対応
    15. 秘密保持義務
    16. 規約の解除
    17. プラットフォームからの脱退
    18. 不可抗力免責
    19. 権利義務の譲渡禁止
    20. 通知
    21. 存続条項
    22. その他の一般規定

これらの目次を見ると、契約モデルを「データ提供型」「データ創出型」「データ共用型」の3類型に分け、各条項について詳細な解説が記載されています。

これらの記載を読むだけでも、契約書の勉強になると思います。
もちろん、実際に活用できる内容になっていますので、実務家にも役立つのではないでしょうか?

例えば、契約交渉で論点の1つに必ずなると思われる「派生データ等の取扱」については、次のようにさらに項目を分けて解説しています(「データ提供型」契約のモデル契約書案の場合)。

  1. 派生データの利用権限に関する考え方
  2. 提供データ等または派生データの利用に基づき生じた知的財産権の帰属について
  3. 利用権限の行使方法
    1. 派生データの利用方法について知的財産権の共有規定を参考とする考え方
    2. 派生データの利用権限をデータ受領者のみに保持させる場合
    3. 派生データに対する非保証
    4. 契約解除後の派生データの利用権限

詳細は、「農業分野におけるデータ契約ガイドライン」を読んでもらえば分かりますが、派生データ等の取扱については、農業分野の特殊性を考慮して、「・・・原則として「派生データ」の利用権限は、データ提供者にも一定程度留 保できるようにし、事案に応じて柔軟な対応や規定をするのが適切ということになる」と考え方を示し、この考え方を反映させた条項案を提示しています。

農業分野における契約書案を作成する業務を行っている人は、このガイドラインを是非ダウンロードして読んでみてください!

農林水産省が作成したガイドラインなので信頼性もありますし、契約交渉で暗礁に乗り上げないで済むような知見を得られるかもしれませんよ!

弊所では、共同開発契約、データの利用許諾を含めた契約交渉およびライセンス契約書のご相談も承っております。
これらに関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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