ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて

ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

遺伝子のイメージイラスト2019年2月8日に、環境庁から『ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて』という通知が出されましたので、今回はそれについて書きます。

かなり専門的な話になりますが、ゲノム編集技術※の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針について、環境省の中央環境審議会で検討が行われました。

この検討結果はこちら

その結果、次のように取りまとめられました。

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  • カルタヘナ法の規制対象範囲
    • ゲノム編集技術を利用して得られた生物のうち、細胞外で加工した核酸を移入して、当該核酸又はその複製物が宿主のゲノムに組み込まれている生物は、カ ルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当し、規制の対象となる。
    • 一方、 最終的に得られた生物に当該核酸が残存していないことが確認された生物や細胞外で加工した核酸を移入していない生物については、「遺伝子組換え生物等」には該当せず、規制の対象外となる。
  • カルタヘナ法の規制対象外とされた生物の取扱い
    • カルタヘナ法の規制対象外と整理された生物の使用等に当たっては、生物多様性への影響に係る知見の蓄積と状況の把握を図る観点から、当面の間、使用者に対して、使用する生物の特徴や生物多様性影響に係る考察等に関し、情報提供を求める。

そして、これを受けて、今回の通知が出されました。

今回の通知では、上述したように「最終的に得られた生物に当該核酸が残存していないことが確認された生物や細胞外で加工した核酸を移入していない生物」は、カルタヘナ法の規制の対象外となるが、所定の生物に対しては、次のような情報提供の協力をお願いするとしています。
(通知では、協力をお願いするとしていますが、実務的には報告義務のようなものだと思います。)

  1. 情報提供が必要な生物(ゲノム編集技術の利用により得られた生物)
    1. 宿主に細胞外で加工した核酸を移入していない生物
    2. 移入した核酸又はその複製物が残存しないことが確認された生物
  2. 情報提供いただく項目
    1. カルタヘナ法に規定される細胞外で加工した核酸又はその複製物が残存していないことが確認された生物であること(その根拠を含む)
    2. 改変した生物の分類学上の種
    3. 改変に利用したゲノム編集の方法
    4. 改変した遺伝子及び当該遺伝子の機能
    5. 当該改変により付与された形質の変化
    6. 5の形質の変化以外に生じた形質の変化の有無(ある場合はその内容)
    7. 当該生物の用途
    8. 当該生物を使用した場合に生物多様性影響が生ずる可能性に関する考察

1-2の「移入した核酸又はその複製物が残存しないことが確認された生物」であることを証明することは非常に難しいと思いますが、そのような生物をつくった場合には情報提供が必要となりますので、注意してください。

弊所では、ゲノム編集技術に関する特許出願についてもご相談を承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

※ゲノム編集技術とは、従来の技術とは異なり、狙った標的遺伝子を改変することができる技術をいう。

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