「プロバイダ責任制限法 商標権関係ガイドライン」をご存知ですか?

「プロバイダ責任制限法 商標権関係ガイドライン」をご存知ですか?

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

プロバイダ責任制限法 商標権関係ガイドラインの表紙
引用:プロバイダ責任制限法 商標権関係ガイドライン

プロバイダ責任制限法 商標権関係ガイドライン」とは、平成17年7月に公表されたプロバイダ責任制限法のガイドラインで、今でも適用されていますので、今回はそれについて書きます。

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このガイドラインは、ネットオークションへの出品物に係る情報その他のウェブページ上の情報の流通によって商標権および専用使用権が侵害されている場合に、ネットオークション事業者等が発信者に連絡をして7日間経っても反論がない場合でなくとも、速やかに削除等の送信防止措置を講じることが可能な場合を現段階で可能な範囲で明らかにすると共に、個別の事案における対応に当たって、ネットオークション事業者等が個別の事情に応じた判断を行うのでなく、ガイドラインに従っているかどうかの形式的な判断をすれば迅速かつ適切な対応が可能とすることを通じて、権利者およびネットオークション事業者等の行動基準を明確化し、特定電気通信による商標権を侵害する情報の流通に対するネットオークション事業者等による迅速かつ適切な対応を促進し、もってインターネットの円滑かつ健全な利用を促進することを目的としています。

さて、このガイドラインの内容ですが、次のような目次となっています。

  1. はじめに - ガイドラインの趣旨
    1. ガイドラインの目的
    2. 情報の流通による商標権の侵害について
    3. ガイドラインの位置づけ
    4. 見直し
  2. ガイドラインの適用範囲
    1. 申出の主体
    2. 対象とする権利侵害の態様
    3. 送信防止措置の対象とする商品の情報
  3. 申出の手順等
    1. 商標権者等における申出の際の手続(書面の様式等)
    2. ネットオークション事業者における申出を受けた際の手続(確認事項等)
  4. 申出における確認事項及びその方法
    1. 申出主体の本人性等
    2. 商標権者等であることの確認
    3. 侵害情報の特定
    4. 商標権等侵害であることの確認
  5. 信頼性確認団体を経由した申出
    1. 信頼性確認団体の基準、範囲等
    2. 信頼性確認団体による確認
    3. 信頼性確認団体の確認手続に過誤等があった場合の対応
  6. ネットオークション事業者等による対応
    1. 申出及び確認が本ガイドラインの要件を満たす場合
    2. 申出及び確認が本ガイドラインの要件を満たさない場合
  7. 〔様式〕
  8. 〔信頼性確認団体を経由して申し出る場合の様式〕

詳細は、このガイドラインを読んでいただければ良いと思いますが、このガイドラインの商標権の侵害態様としては、次の3つが想定されています。

  1. ネットオークションへの偽ブランド品等の出品
  2. ショッピングモールにおける偽ブランド品等の出品
  3. その他ウェブサイト上での偽ブランド品等を譲渡する旨の広告

平成17年時点では、1や2が注目を浴びていたのかもしれませんが、アフィリエイト等の存在を考慮すると、現在は3が大きな問題になっているのかもしれません。
(弊所にも、3のご相談が増えてきていると感じています。)

そして、このガイドラインでは、次の2つの基準のいずれにも該当する商品の情報を送信防止措置の対象としています。

  1. ウェブページ上で現に表示されている商品に関する情報が真正品に係るものでないと判断できること
    次のいずれかに該当する商品の情報については、他に真正品の情報であることをうかがわせる特段の事情がない限り、真正品の情報ではないと判断して差し支えない。

    1. 情報の発信者が真正品でないことを自認している商品
    2. 商標権者等により製造されていない類の商品
    3. 商標権者等が合理的な根拠を示して真正品でないと主張している商品(2に該当するものを除く。)
  2. 商標権侵害であることが判断できること
    上記1の商品の広告等を内容とする情報について、次に掲げるすべての事項が確認できる場合には、当該商品の広告等を内容とする情報は商標権を侵害している蓋然性が高いと判断する。

    1. 広告等の情報の発信者が業として商品を譲渡等する者であること
    2. その商品が登録商標の指定商品と同一又は類似の商品であること
    3. 商品の広告等を内容とする情報に当該商標権者等の登録商標と同一又は類似の商標が付されていること

したがって、これらの条件を満たした場合には、各プロバイダー等が定めている手続を行えば、商標権を侵害している行為に対する送信防止措置を行ってくれることになります。

もし、自社の商標権を侵害していると思われるWebサイトを発見した場合には、上記の条件を満たすか否かを検討してみてください。

もし、条件を満たすということでしたら、送信防止措置の申請をしてみては如何でしょうか?

弊所では、Webサイト上の商標権侵害に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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