HUGO BOSSもどきの商標使用はNG!

 HUGO BOSSもどきの商標使用はNG! 不正使用取消審判事件の紹介です

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

今日は、商標の不正使用取消審判事件のご紹介をいたします。

 

商標法51条には、商標権者が故意に、登録商標の類似範囲で品質誤認・出所混同惹起行為を行った場合は、その商標登録に対し取消審判請求をすることができる旨が規定されています。

 

今回の事案は、第25類「ネクタイ、ベルト、靴下、・・・etc.」を指定する登録商標「BOSSANJERASU」に関する取消審判事件です(取消2012-300994)。

審判請求人は、「HUGO BOSS Trade Mark Management GmbH Co. KG」です。世界的な高級紳士服ブランドメーカー「HUGO BOSS AG」の関連会社です。

 

BOSSANJERUAS商標「BOSSANJERASU」の権利者である被請求人は、紳士用ベルトに付した帯状ラベルに、大きく「BOSS」の文字を表示し、その下部に小さく「ANJERASU」の文字を表示していました(画像をご参照ください)。

登録商標は「BOSSANJERASU」という同書・同大・等間隔の一連の書体にも関わらず、「BOSS」が目立つような使用態様となっていたというわけです。

 

請求人(HUGO BOSS側)は、国際登録商標「BOSS」及び「BOSS/HUGO GOSS」の権利者であり、指定商品も問題となっている「ベルト」をカバーしています。

そこで、「BOSSANJERASU」の使用が、HUGO BOSSとの出所混同惹起行為以外の何でもないとして取消請求をしたのが本件というわけです。

 

特許庁は審判で、本件使用商標が登録商標「BOSSANJERASU」の類似範囲での使用に該当し、HUGO BOSSの商標の著名性について認定した上で、被請求人はベルトを取り扱っており、著名なHUGO BOSSの商標の存在を知っていたと優に推認できる等の理由で故意があったと認定しています。

 

このように、不正使用の取消審判は周知著名な商標の権利者から請求される事例が多いです。

今日は以上です。

 

※画像引用先:特許電子図書館

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子