ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料32

ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料32

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで、公正取引委員会が公表している「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」を紹介しましたが、平成28年1月21日に、その一部が改正されていましたので、今回はそれについて書きます。

「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」 (知的財産ガイドライン)の一部改正のポイントはこちら

「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針(平成28年1月21日)」はこちら

「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」とは、知的財産のうち、技術に関するものを対象とし、技術の利用に係る制限行為 に対する独占禁止法の 適用に関する考え方を包括的に明らかにするための資料です。

さて、平成28年1月21日改正の内容ですが、標準化機関等の標準規格必須特許の考え方と、標準規格必須特許を有する者による差止請求訴訟に関する記載が修正されています。

知的財産ガイドラインの一部改正のポイント
「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」 (知的財産ガイドライン)の一部改正のポイント

詳細は、このガイドラインをご覧になっていただければと思いますが、例えば、「私的独占の観点からの検討」の「技術を利用させないようにする行為」のオには、FRAND条件でライセンスを受ける意思を有する者ではないとの認定に関し、「例えば,ライセンス交渉の相手方が,一定の交渉期間を経てもライセンス条件の合意に至らなかった場合に,裁判所又は仲裁手続においてライセンス条件を決定する意思を示している場合は,FRAND条件でライセンスを受ける意思を有する者とみられる」という表現が追加されいます。

また、「不公正な取引方法の観点からの考え方 1」の「技術を利用させないようにする行為」の(4)には、「当該必須特許の対象となる技術を含む規格が策定された後に,FRAND宣言を撤回し,FRAND条件でライセンスを受ける意思を有する者に対し,ライセンスを拒絶し,又は差止請求訴訟を提起することは,一般に,広く普及している規格を採用した製品の研究開発,生産又は販売を困難とするものであり,当該規格を採用した製品の研究開発,生産又は販売を行う者の取引機会を排除し,又はその競争機能を低下させることにより,当該規格を採用した製品の
市場における競争に悪影響を及ぼし,公正競争阻害性を有することとなる。」という修正が成されています。

このように、この改正版では、標準化に関係する独占禁止法に関する考え方が修正されています。

標準化に関わっている方は是非目を通しておいた方が良いと思います。

弊所では、標準化に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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