平成30年改正消費者契約法に関する一問一答について

平成30年改正消費者契約法に関する一問一答について

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

ネットショッピングのイラスト以前のブログで、平成30年改正消費者契約法について書きましたが、この改正法に関する一問一答が公表されたので、今回はこれについて書きます。

平成30年改正消費者契約法に関する一問一答はこちら

この一問一答には、次のような事項が解説されています。

  1. 今回の改正の経緯はどのようなものですか。
  2. 今回の改正は民法の成年年齢引下げに対応したものですか。
  3. 消費者契約の条項を定めるに当たり、事業者が、解釈について疑義が生じない明確かつ平易なものになるよう配慮すべき義務を定めるのはなぜですか。
  4. 消費者契約の締結について勧誘をするに際して、事業者が、個々の消費者の知識及び経験を考慮した情報提供をすべき義務を定めるのはなぜですか。
  5. 「消費者契約の目的となるものの性質に応じ」という文言は何を指すのですか。
  6. 事業者の主観的要件として、故意のほかに「重大な過失」を追加するのはなぜですか。
  7. 事業者に「重大な過失」があるとされるのはどのような場合ですか。
  8. 消費者の不安をあおる告知により締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。
  9. 「社会生活上の経験が乏しいこと」という文言は何を指すのですか。中高年の被害者も救済されますか。
  10. 「社会生活上の重要な事項」という文言は何を指すのですか。
  11. 「不安をあおり・・・告げること」という文言は何を指すのですか。
  12. 「正当な理由がある場合」とはどのような場合を指すのですか。
  13. 好意の感情を不当に利用して締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。
  14. 「好意の感情」とはどのような感情を指すのですか。
  15. 「勧誘を行う者」とはどのような者を指すのですか。
  16. 関係が破綻することになる旨の告知がない場合には取消しの対象とならないのですか。
  17. 加齢等による判断力の低下を不当に利用して締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。
  18. 「判断力が著しく低下している」とは具体的にどのような事態を指すのですか。
  19. 霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。
  20. 事業者が契約締結前に債務の内容を実施したこと等により締結された消費者契約の取消しを認めるのはなぜですか。どのような事例が救済されますか。
  21. 「実施前の原状の回復を著しく困難にする」という文言は何を指すのですか。
  22. 「損失の補償を請求する旨を告げる」という文言は何を指すのですか。
  23. 事業者にその責任の有無や限度を決定する権限を付与する条項を無効とするのはなぜですか。
  24. 「当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項」、「当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項」とは何を指すのですか。事業者に決定権限が付与される条項には、具体的にどのようなものがあるのですか。
  25. 消費者が後見等の開始の審判を受けたことのみを理由として事業者に解除権を付与する条項を無効とするのはなぜですか。
  26. 消費者が事業者に対し契約の目的物を提供する消費者契約において、本条項が無効とならないのはなぜですか。
  27. 消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)の規定は、いつから施行されることとなるのですか。
  28. 改正後の消費者契約法の規定については、いつの時点を基準として適用されるのですか。

これらの項目を見れば分かるように、条文の文言解釈の解説も含まれています。

例えば、5の『「消費者契約の目的となるものの性質に応じ」という文言は何を指すのですか。』という問いに対して、

「1.個別の消費者の事情(知識及び経験)の考慮の程度については、「消費者契約の目的となるものの性質」によって異なり得るものと考えられますので、当該文言を明記することとしました。

2.例えば、複雑な仕組みの金融商品、不動産賃貸借、サイドビジネスなどの契約では、事業者が消費者の知識及び経験を考慮すべき程度は相対的に高いものと考えられます。

3.他方、使用方法が複雑ではない日用品等の買物などの場面では個別の考慮になじまず、買主である消費者の知識及び経験を考慮すべき程度は必ずしも高くないものと考えられます。」

と解説されています。

このように、文言の趣旨から、その文言に該当すると考えられる具体例を挙げて分かり易く記述されています。

ただ、この一問一答の内容は、あくまで立法側の法解釈であって、最終的には裁判所でその解釈が決まることになります。

しかし、裁判例がない部分については、消費者契約法を解釈する上で貴重な資料となりますので、消費者契約法が適用されるビジネスを行っている方は、この一問一答を是非ダウンロードしてみてください。

きっと役に立つと思います。

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ライセンス契約書について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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