「特許出願の発明者の表示」について

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

何かをひらめいた男性のイラスト令和3年7月30日に、特許庁から「発明者等の表示について」という資料が公開されたので、今回はそれについて書きます。

「発明者等の表示について」はこちら

この資料を読むと、次の条文を根拠として、特許庁は、特許出願の願書の「発明者」の欄には、発明をした自然人の氏名を記載すべきものとして取り扱っていることが説明されています。

  • 産業上利用することができる発明をした者が、その発明について特許を受けることができる(特許法第29条第1項柱書き)
  • 特許を受ける権利は、移転することができる(特許法第33条第1項)
  • 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願しなければ、第三者に対抗することができない(特許法第34条第1項)

特許実務を行っていると、発明者の欄に、自然人以外を記載することがあるのか?と思ってしまいますが、特許庁がこのような資料を公表するということは、自然人以外の名称を記載する出願人が増えてきている証拠なのかもしれません。

知的財産権の一種である著作権法では、法人著作等が認められているので(著作権法第15条、第16条)、特許でも法人が発明者となることがあると思っている人がいるのかもしれません。

しかし、この資料を読んでいくと、例として「人工知能(AI)等を含む機械を発明者として記載することは認めていません」という記載もあります。

ロボットのCGもしかすると、AI(人工知能)を使って導き出された発明に関して、発明者にAI名を記載しているのかもしれません。

ちなみに、内閣府でも「AIによって生み出される創作物の取扱い」について議論されています。

AIによって生み出される創作物の取扱い(討議用)はこちら

なお、この資料から分かるように、AIによって生み出される創作物に独占権である特許権が付与されるとするには、議論すべき事項がまだまだ沢山あると思います。

個人的には、現時点のAIが”自主的に”発明をすることはないと思いますので(人間が何らかの指示をすれば”発明”らしきものを出力することはできるかもしれません)、発明者にAIが記載されることはまだ先のことではないかと思います。

ところで、発明者の欄に自然人以外の名称を記載してしまった場合はどうなるのか?と疑問が湧く人もいると思いますが、特許庁は、「願書等の記載事項に不備があるものとして、手続に方式上の違反がある場合に該当することから、相当の期間を指定して手続の補正をすべきことを命じます(特許法第17条第3項(意匠法第68条第2項において準用する場合を含む)」という取り扱にになっていますので、安心してください。

実用新案登録出願および意匠登録出願でも、同様に取り扱われていますよ。

発明者にAIの名称を記載するということになったら、特許法等を抜本的に改正する必要がありそうです。

弊所では、AIを用いた発明、考案、意匠に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。