製造物責任法に関する訴訟情報について(2023年)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

令和5年3月15日に、消費者庁が取りまとめている「製造物責任法に関する訴訟情報」が更新されましたので、今回はそれについて書きます。

水漏れ修理のCG

製造物責任法に関する訴訟情報はこちら

ライセンス契約書等をチェック・作成をしていると、製造物責任に関する条項を見る機会があります。

そこで、ライセンス契約等の契約のレビュー等を担当している方は、製造物責任法(PL法)の現状を把握しておく必要があります。

その際に役立つのが、消費者庁が取りまとめている「製造物責任法(PL法)に基づく訴訟情報の収集」のWebページです。

このWebページには、次の3つの訴訟情報をダウンロードできるようになっています。

PL法に関する訴訟情報としては、何れの資料も非常に役立つものですが、ライセンス契約書等をチェック・作成する際には、PL法論点別裁判例が特に役立ちます。

例えば、第2条第3項の「製造業者として表示をした者・製造業者と誤認させるような表示をした者」の項目に関する裁判例として、赤外線ドーム両下肢網状皮斑事件が掲載されており、この項目の解釈として
Yは本件ドームを製造した者ではなく、また、本件ドームのコントローラー、ボックス
及び本件取扱説明書の表紙には、Yの商標(Yの会社名をローマ字で表記したもの)のみ
が表示されている。また、電化製品には販売業者ではなく製造業者の商標が記載されてい
ることが圧倒的に多いことからすれば、表示されているYの商標は、Yが本件ドームの製
造業者であると誤認させるような表示であると認められる。

という裁判所の判断が記載されています。裁判例はあくまでその事案の判断が記載されているだけなので、この判示をどう解釈すべきかは、判決書を実際に読み込む必要がありますが、膨大な裁判例のうちPL法に関する裁判例が論点別にまとめられていることは非常に価値があると思います。実際に、PL法の裁判に関与している人だけではなく、ライセンス契約書等の契約書を作成・検討している人にも非常に役立つ資料だと思いますので、是非読んでみてください!

弊所では、PL法も考慮したライセンス契約書等の作成も承っております。
ライセンス契約書等で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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