「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が改訂されました(2022)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

引用:電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和4年4月)

令和2年8月改訂版の公表後に施行された新規法令や改正法令(令和4年4月1日までに施行されているものを対象)等を踏まえた改訂版「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和4年4月)」が公表されたので、今回はそれについて書きます。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和4年4月)」はこちら

さて、今回の改訂版ですが、上述したように、令和4年4月1日までに施行されている法律等を考慮して次のような論点について改訂されました。

  • Ⅰ-7 アプリマーケット運営事業者の責任(プラットフォーム透明化法の反映)
  • Ⅱ-3 P2Pファイル共有ソフトウェアの提供
  • Ⅱ-7 ID・パスワード等のインターネット上での提供
  • Ⅱ-9-3 著作物の写り込み
  • Ⅲ-8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗
  • Ⅲ-12-1 デジタルコンテンツのインターネットでの提供等における法律問題について
  • Ⅲ-14 ブロックチェーン技術を用いた価値移転(裁判例を反映)

詳細は、この準則をご覧になっていただければと思いますが、例えば「Ⅲ-8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗」に関しては、考え方として、次のようなケースを想定し、全てのケースに対して、「ユーザーは情報財の使用を継続することができる」と見解を示しています。

  1. 情報財に関する知的財産権が第三者に譲渡された場合
    1. 情報財のライセンサーとしての地位を移転する場合
    2. 知的財産権のみが譲渡された場合
      1. 著作権が譲渡された場合
      2. 特許権が譲渡された場合
  2. ベンダー(ライセンサー)が破産した場合
    1. 著作権の場合
    2. 特許権の場合

そして、この見解に対する根拠もちゃんと記載されています。

このように、実務で問題となるような論点に関し、この準則には、理由を含めてその考え方が簡潔に記載されています。

電子商取引を行う事業者(ECサイト)・関連サービスを提供する事業者や、電子商取引から発生する消費者紛争の解決支援を行う相談員は、是非この資料を読んで、紛争が生じ難くなるようなシステム(体制を含む)を構築することをお勧めいたします。

ただし、この準則もあくまで一つの解釈を示すものであって判例ではありませんので、判例によって解釈が変更になる可能性があることに留意してください。

弊所では、この準則で解説されている事項に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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