ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料28

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで紹介した中国の技術出入管理条例に対する契約条項案が書かれた資料(中国技術輸出入管理条例に関する技術供与者のリスク低減のための契約条項案と契約スキームの検討)をご紹介します。中国国旗のイラスト

この資料は、「日本企業が技術供与側として受入側の中国企業と特許やノウハウのライセンス契約を締結する場合を想定して、このような契約に適用される中国の技術輸出入管理条例に関するリスク低減を図るための契約条項を提案することを目的」として作成されたものとなっています。

さて、この資料ですが、次のような三章構成となっています。

第一章 条例解説
1.第三者の権利侵害に関する供与側の保証義務(条例第24条)
2.提供技術の完全性等の保証義務(条例第25条)
3.改良技術の帰属(条例第27条、条例第29条3款)
4.商務部への届出(条例第10-20条)
5.仲裁取り決め条項
6.準拠法を外国法とする提案

第二章 契約条項案文
1.第三者の権利侵害に関する供与側の保証義務
2.提供技術の完全性等の保証義務
3.改良技術の帰属
4.商務部への届出
5.仲裁取り決め条項
参考)中国の子会社が中国企業に技術を許諾する条項案
1.第三者の権利侵害に関する供与側の保証義務
2.提供技術の完全性等の保証義務
3.改良技術の帰属
4.仲裁取り決め条項条款

第三章 中華人民共和国現行関連法律資(以下略)

さて、内容ですが、第一章では、対象となる条例について、契約法との関係も含めた解説(Q&A形式を含めて)されています。

たとえば、「同条2項は、技術輸出入の対象となる行為には、特許権の譲渡、特許出願権の譲渡、特許の実施許諾、技術ノウハウの譲渡、技術サービスおよびその他の方式による技術移転を含むと規定しているので、本稿の対象とする日中間のライセンス契約も『技術輸出入条例』の対象となる」と記載されています。

中国の技術輸出入条例を解説しているものはいくつかありますが、この資料のように、解釈も含めて記載されているものは少ないと思います。

次に、肝心の契約条項案ですが、各条例に対応する契約条項案が複数提示されると共に、それらに対する解説(留意事項)も記載されています。

たとえば、第三者の権利侵害に関する供与側の保証義務の契約条項として次のものが記載されています。

「”対象技術”とは、許諾側が本契約を元に、非許諾側に許諾する技術を指し、そのすべての内容、許諾方式、検収基準は、本契約付録#に明確に列記する。」

そして、解説(留意事項)として次のものが記載されています。

「”対象技術”は、付録書類により詳細に列挙することを薦める。特に関わる内容、書類媒体、許諾方式、手順、技術検収基準等を明確に注記するように注意しなければならない。また、関連重要情報書類には”守秘”のウォーター・マーク等を入れるように薦める。」

このように、かなり実務的なことまで記載されています。

この資料に記載されている契約条項案をそのまま利用するのは危険ですが、条項案を作成する際には非常に参考になります。

中国企業へのライセンス契約書を検討する際には是非参考にしてください!

最後に、この資料の「はじめに」も記載されているように、「中国において国際技術取引に関する個別紛争案件に対し公開された判例もなく、司法部門からの意見や見解も示されていないなかで、あくまで現行の制定法と士法解釈を元に検証し、ジェトロ北京事務所にて加筆を試みたものです。また、本書(巻末の付録を含む)を参考にされてもたらされたいかなる個別案件での損失またはリスクに対しても、執筆に関わったジェトロ、北京集佳知識産権代理有限公司、中国IPG企業戦略WG関係者では一切の責任を負わないことを予めご了承いただけますと幸いです」という点にはくれぐれもご留意ください。

弊所では、外国企業とのライセンス契約書に関するご相談も承っております。
何かありましたら、是非ご相談ください。

今日は以上です。