ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料16

ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料16

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

2019年3月に、中国の技術輸出入管理条例が改正されました。
改正技術輸出入管理条例に関するブログはこちら

今回は、中国企業とのライセンス契約書を作成する際に役立つ資料(中国ライセンスマニュアル)をご紹介いたします。
(この資料は、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が取りまとめたものです。)

この資料は、2011年発行なので少し古くなっていますが、中国企業とのライセンス契約書を作成する際に役立つ貴重な資料だと思います。中国国旗のイラスト

特に、「技術ライセンスのパートナー発掘の方法」など、他の資料や書籍には載っていない事項も記載されていますし、中国の実務では重要になる「ライセンス契約締結後の手続き」もきちんと記載されています。

外国でのライセンス契約では、国ごとに独特の制度が設けられていることがあります。

中国では、特に次の2点に注意してください。
①技術輸出入管理条例
②各種許諾契約届出

①の技術輸出管理条例は、ライセンス契約書を作成する前のライセンスを許諾するか否かの判断の際に重要な条例になります。

ここには、例えば、「技術輸入契約の譲受人が契約の約定に従って譲渡者の技術を使用した結果、第三者に権利侵害で告訴された場合、直ちに譲渡者に通知しなければならない。譲渡者は通知を受けた後、譲受人と協力し、譲受人が受ける不利益を排除しなければならない。技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡者が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡者が負う。」(強行規定と解釈されています)という規定されています。

すなわち、ライセンサー(実施許諾者)に第三者権利の侵害に関する保証責任を強制的に負わせることになります。

したがって、中国企業にライセンスを行う場合には、このようなリスクも考慮する必要があります。

次に②の各種許諾契約届出については、これらの届け出をしないと海外送金ができない等の不利益がありますので、必須の手続きになります。

ご紹介した中国ライセンスマニュアルには、これらの手続についても記載されていますので、中国企業(子会社を含む)との間でライセンス契約を締結する場合には参考にしてみてください。

なお、ライセンス契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。

今日は以上です。

追記:技術輸出入管理条例が改正されたので、その情報を追加(2019/4/13)

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