古くて新しいドメイン名紛争?

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで、10数年前はドメイン名紛争があったが最近はないと書きましたが、先日ドメイン名紛争に関する事例が公表されたので、今回はそれについて書きます。コンピュータネットワーク

具体的には、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)※が、ドメイン名紛争に巻き込まれ、それを解決した際の経緯を「偽JPCERTドメイン名を取り戻すための60日間~ドメイン名紛争処理をしてみた~」というドキュメントにまとめ、それを公開しています。

このドキュメントによると、JPCERT/CCのドメイン(jpcert.or.jp)と類似のドメイン(jpcert.org)が第三者に登録されてしまったので、ドメイン名紛争処理を行い、最終的にそのドメインを取得したということです。

ドメイン名紛争処理とは、定められた方針に沿って、不正の目的によるドメイン名の登録・使用(例えば、 ドメイン名を先取りして、 商標権を持つ人に対して高額で転売しようとする行為など)があった場合に、 権利者からの申立に基づいてそのドメイン名の取消または移転を実現するための仕組みです。

JPドメイン(.jp)の場合には、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が採択した「JPドメイン名紛争処理方針」に沿って、ドメイン名紛争処理機関である日本知的財産仲裁センターがドメイン名紛争処理が行います。

今回は、トップレベルドメインがgTLD(.com, .net, .org, .biz, .info, .nameなどで終わるドメイン名)であったので、日本知的財産仲裁センターではなく、WIPO仲裁調停センターを利用したようです。

しかし、このドキュメントに記載されている事項は、多くの企業が使用しているJPドメインでのドメイン名紛争に役立つと思います。

JPCERT/CCがこのドキュメントを公開したのも、「不幸にして同様の状況に陥った日本企業においても、所定の手続きを踏むことでドメイン名を取り戻すことができる可能性があることから、対応の一助となることを期待して」という理由のようです。

たとえば、このドキュメントの中ほどには、『自社の主要なサービス・製品について商標を登録していなければ、類似のドメイン名をドメイン名紛争処理によって取り戻すことは難しい。ドメイン名が何者かに登録されてから、商標登録しても手遅れである。重要なサービス・製品名について早めの商標登録をすすめたい。
なおドメイン名紛争処理の観点からは、どこか一つの国(例えば日本)で商標登録されていれば、相手方が所在する国において未登録であっても考慮される。どこか一つの国で商標登録を早めに行っておくことが大切である。 』という記載があります。

本件でも、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターが、商標「JPCERT/CC」に関する商標権(商標登録第4952632号)を取得していたことが、上記の結果に寄与したのではないかと思います。

以前のブログには、SEO対策のためにも商標登録した方がよいと書きましたが、ドメイン名紛争の際にも商標登録が役に立つのです!

SEO対策だけではなく、ドメイン名紛争の予防策としても、社名やブランド名の商標登録をお勧めいたします。

ちょっと話は逸れてしまいましたが、ドメイン名紛争に巻き込まれたまたは巻き込まれそうな企業の方は、是非このドキュメントをご覧ください。

弊所では、商標登録だけでなく、ドメイン名紛争のご相談も承ります。
何かありましたら、是非ご相談ください。
ちなみに、私は、日本知的財産仲裁センター調停人・仲裁人補助者候補者になっております。

一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)とは、インターネットを介して発生する侵入やサービス妨害等について、国内のサイトに関する報告の受け付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止のための対策の検討や助言などを、技術的な立場から行なっている組織です。