ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料23

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、単なるライセンス契約書というよりは、技術移転に伴うライセンス契約書を作成・検討する際に役立つ資料(技術移転とライセンシング)を紹介します。

技術移転とライセンシングはこちら

この資料は、特許庁と社団法人発明協会(現一般社団法人発明推進協会)のアジア太平洋工業所有権センターが取りまとめたもので、以前紹介した資料と異なる点は、技術移転という側面からライセンス契約等について解説していることです。

この資料には、技術移転の概要と技術移転活動についても記載されています。
握手しているビジネスマンのイラストこの部分は、私自身が産業技術総合研究所の技術移転業務に長年関わってきたこともあって、技術移転する立場で読みましたが、実務に役立つ内容だと思います。
(技術移転に関係する方は一度読んだ方がいいと思います。)

さて、ライセンスに関する内容ですが、この資料には技術移転に関係する次の契約書の文例がコメント付きで記載されています。
(独占禁止法に関することも記載されています。)

  1. 特許ライセンス契約書
  2. ノウハウライセンス契約書
  3. 秘密保持契約書
  4. オプション契約書
  5. 特許・ノウハウライセンス契約書

このコメントには、実際に契約書を作成・検討する際に役立つものばかりなので、一度目を通しておいた方がいいと思います。

また、この資料には、他の資料ではあまり解説されていないライセンス契約の管理についても記載されています。

長年ライセンス契約に関する業務を行ってきて思うのは、ライセンス契約を締結することも大変ですが、ライセンス契約を管理することも同じように大変だということです。

ライセンス契約は通常の売買契約とは異なり、契約期間が長期に亘るものが多いです。
このような特性上、ライセンス契約では、契約締結時には想定していなかった事態が起こることがよくあります。
(それを見越してライセンス契約の条項を規定しておくのですが、すべてを事態を想定することは困難です。)

そこで、ライセンス契約を適切に管理し、事態が深刻化する前にライセンス契約を修正することが必要になります。

この資料では、ライセンス契約の管理について、次のような項目が列挙されています。

  1. 契約期間のチェック
  2. ライセンス対象技術・製品の実施状況のチェック
  3. 対価の支払い,入金の管理
  4. 実施権の維持義務(特許料納付)――基本的義務
  5. ライセンス契約に関する行政手続
  6. 改良技術・特許のフォロー
  7. 第三者特許の侵害ウォッチング
  8. 第三者からの特許侵害主張に対する対応
  9. 類似・競合技術の出現ウォッチング
  10. 技術的・商業的保証問題への対応

惜しむらくは、これらの管理方法まで記載されていると本当に役に立つ資料になるのですが、具体的な管理方法までは記載されていません。
(管理方法は個別具体的で、一般的に解説できないということなのかもしれません。)

この資料は、技術移転という側面からライセンス契約等について解説しているものですので、技術移転を考えている方にはもちろん役立ちますが、それ以外の方にも役立つ資料だと思います。

今日は以上です。

追記:2017年8月に資料の保存場所が変更になっていたので、それに合わせてリンクを修正
追記2:特許庁のURLに伴い、リンク先を修正(2019/7/24)