INPITによるタイムスタンプ保管サービスが始まります!
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
※このタイムスタンプ保管サービスが、2021年3月31日に終了することになりました。
※タイムスタンプ保管サービス終了のブログはこちら
昨年、「秘密の金庫番」として特許庁が発表していたタイムスタンプ保管サービスが近々開始されますので、それについて書きたいと思います。
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)のプレスリリースによると、平成29年3月からタイムスタンプ保管サービスが始まります。
タイムスタンプ保管サービスの内容は、時刻認証業務認定事業者が発行したタイムスタンプトークン※を、利用者から預かって長期保管し、その利用者が必要とした場合に、預入証明書と共にタイムスタンプトークンを提供するサービスのようです。
具体的には、INPITが、時刻認証業務認定事業者のサービスを使って取得した電子文書のタイムスタンプトークンを無料で長期間保存してくれるというサービスのようです。
その時点で存在していた文書自体を保管してくれるサービスではないようですが、国の機関(INPIT)がタイムスタンプトークンが預けられた時点において、確かに存在していたことを証明してくれることになるので、タイムスタンプトークンの紛失や改ざんのリスクを低減することができると共に、費用をかけずにタイムスタンプトークンを長期間保存することができます。
その結果、営業秘密や先使用権等を立証する際の立証負担を軽減することができることになります。
これに加え、プレスリリースでは、『「重要な秘密情報」を持ち出すことなく日付を確保し、保有時点の立証における軽減効果が期待できる』ということも強調しています。
ちなみに、文書の存在を証明する方法として、印刷した資料を入れた封筒を公証役場で確定日付を付す方法がありますが、オフィス内で済ませることができるというメリットがあるので、このタイムスタンプ保管サービスが使われるようになるかもしれません。
なお、上記プレスリリースによると、次のような場面で、このタイムスタンプ保管サービスを活用できるとされています。
- 特許、意匠、商標等の侵害訴訟において、被疑侵害者が先使用権を主張する際に、発明や意匠の実施である事業又はその準備をしていたことを立証したり、商標の先使用を立証したりするケース
- 他者の特許権や意匠権の有効性を争う審判や訴訟等において、特許や意匠登録の無効理由となる技術情報等が、出願された時点において公知であった事実を立証するケース
- 商標登録の取消しの審判において、商標権者等が登録商標の使用を立証するケース
- 営業秘密漏えい事件の訴訟において、漏えいした技術を営業秘密保有者自らがその時点以前に保有していたことを立証するケース
国の機関がタイムスタンプトークンを保存してくれるということですので、これらの他にもいろいろ利用方法があるかもしれませんね。
国が作成・運用する制度ですし、無料で使える制度ですので、機会があったら是非使ってみたいと思います。
今日は以上です。
追記:タイムスタンプ保管サービス終了に関する除法を追加(2020/10/13)