2018年度も知的財産権侵害対策補助金があります

2018年度も知的財産侵害対策補助金があります

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

昨年度に引き続き、平成30年度も知的財産権侵害対策にかかる費用の2/3を補助する支援事業が開始されましたので、今回はこれについて書きます。

この支援事業の正式名称は、平成30年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金(平成30年度防衛型侵害対策支援事業)といいます。

この支援事業に採択されると、次の補助率・上限額で、係争費用(弁理士・弁護士への相談等訴訟前費用、訴訟費用、対抗措置、和解に要する費用<損害賠償・和解金を除く>)に対して補助金が出ることになります(詳細はこちら)。

  • 補助率:2/3
  • 補助上限額:500万円

ただし、この助成を受けるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

まず、次の何れかの係争に該当している必要があります。

  1. 冒認出願等により係争対象国での産業財産権を現地企業に先取りされているため係争となっている。
  2. 係争対象国において無審査によって取得できる産業財産権が、現地企業との間で並存しているため係争となっている。
  3. 係争対象国での産業財産権を保持しつつも、事業を実施していない現地企業から権利行使され、係争となっている。

さらに、次の7つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 中小企業基本法に基づく中小企業の要件を満たす法人であること又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めるもの)。なお、「地域団体商標」に関する係争については、商工会議所、商工会、NPO法人等も対象となる。
  2. 係争対象国で係争に関連する産業財産権を保持、もしくはその実施権を得ていること(ただし、係争1、3の場合には、係争に関連する産業財産権を日本国で有していること)。
  3. 係争対象国で警告状又は訴状等の係争が始まったことを示す証拠があること。
  4. ジェトロ以外の機関から、同様の補助(海外知財訴訟保険の支払い対象となる案件を含む。)を受けていないこと。
  5. 本事業終了後3年の間に係争に係る進展があった場合は、ジェトロに対して報告義務を負えること。
  6. ジェトロと常に連絡を取れる担当者を置けること。
  7. 原則、申請者又は弁護士等の代理人と、ジェトロ本部(東京)にて面談の機会を設けること。

このような補助金等は、予算枠が無くなった時点で募集を終了することになりますので、上記条件に当てはまり、かつ海外知的財産権侵害対策を行おうと考えている企業は、早めに申請を行った方が良いと思います。

ただ、気をつけて欲しい点は、下図に示すように、費用を支払った後で補助金が支給されることです。すなわち、まず上記の費用を自己負担した後に補助金が支払われること(後払い)になりますので、資金繰りに注意してください(先払いと勘違いされている方もいます)。

知的財産権侵害対策スキーム
引用:特許庁HP

上記の補助金の条件を見ると、比較的満たしやすいものになっていると思います。

したがって、海外で外国企業から警告を受けた場合には、まずこの補助金の申請を行ってみては如何でしょうか?

知的財産権に関する紛争は結構時間がかかりますので、この補助金申請を行ってからでも十分間に合うと思います。

外国で知的財産権に関する紛争に巻き込まれたら、是非この補助金を活用してください。

弊所では、外国での知的財産権侵害に関するご相談も承ります。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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