「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」が改訂されました(2019)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

標準必須性に係る判断のための判定の表紙

引用:標準必須性に係る判断のための判定

令和元年(2019年)6月に、「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」が改訂されましたので、今回はそれについて書きます。

「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き(改訂版)」はこちら

「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」は、平成30年(2018年)に公表・運用されていましたが、不正競争防止法等の一部を改正する法律(平成30年5月30日法律第33号)が施行されることに伴い、改正法施行への対応と、ユーザーにとってより使いやすい運用とすることを目的として、今般改訂版が公表され、令和元年7月1日からはこの改訂版に基づく運用が開始されました。

この「標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き」は、当事者間のライセンス交渉において特許発明の標準必須性に関して争いとなり、議論が平行線となることもあることから、特許庁が、判定において、当事者の主張・立証に基づく標準必須性に係る判断を行い、その判定結果を公開することで紛争解決の促進が期待できるとのニーズが提示されていました。

そこで、特許庁は、標準必須性に係る判断のための判定制度の運用を明確化し、本運用を利用する実務家のためにこの資料を作成しました。

さて、この改訂版の内容ですが、次のような目次となっています。

  1. 背景
  2. 本運用について
    1. 本運用の目的
    2. 判定とは
    3. 特許発明の標準必須性と本運用について
    4. 本運用に基づく判定を請求することができる場合
  3. 標準必須性に係る判断のための判定請求書の書き方
    1. 請求の趣旨の記載
    2. 被請求人の記載
    3. 請求の理由の記載
    4. 証拠方法の記載
  4. 被請求人の答弁書について
    1. 仮想イ号が本件特許発明の技術的範囲に属するとの趣旨の判定請求に対する答弁書
    2. 仮想イ号が本件特許発明の技術的範囲に属しないとの趣旨の判定請求に対する答弁書
  5. 標準必須性に係る判断のための判定請求書の記載例
    1. 仮想イ号が特許発明の技術的範囲に属するとの趣旨の判定を請求する場合の判定請求書の記載例
    2. 仮イ号が特許発明の技術的範囲に属しないとの趣旨の判定を請求する場合の判定請求書の記載例
  6. 標準必須性に係る判断のための判定書の記載例
    1. 仮想イ号が特許発明の技術的範囲に属するとの趣旨の判定を請求する場合の判定書の記載例
    2. 仮想イ号が特許発明の技術的範囲に属しないとの趣旨の判定を請求する場合の判定書の記載例

判定の具体的な手続きや記載例は、この資料を読んでいただくこととして、この資料で最も重要な部分は、ある特許発明がある標準規格に必須の発明であるかどうか等を判断するために、通常の判定とは異なり、当該特許発明の技術的範囲について、次のような態様をとるという点だと思います。

  • 特許発明が標準規格に必須のものであるとの判断のため、標準規格文書において不可欠とされる構成からなる仮想イ号が当該特許発明の技術的範囲に属するとの趣旨の判定を請求する。
  • 特許発明が標準規格に必須のものでないとの判断のため、標準規格文書において不可欠とされる構成からなる仮想イ号が当該特許発明の技術的範囲に属しないとの趣旨の判定を請求する。

すなわち、この資料で最も重要な部分は、特許発明がある標準規格に必須の発明であるかどうかは、特許発明と、標準規格文書とを対比して判断するという点です。

特許発明と標準規格文書との対比の図

引用:標準必須性に係る判断のための判定の利用の手引き(改訂版)

このように、標準必須性に係る判断のための判定は、通常の判定と異なる部分があるので、標準必須性に関して判定の利用を考えている企業やその代理人は、この点を十分に検討した上で判定を利用するか否かを判断した方が良いと思います。

想定していたこととは違う判定結果となる可能性があるかもしれませんよ!

弊所では、標準化に関するご相談も承っております。
標準化に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。