製造物責任法に関する訴訟情報について(2020年)

製造物責任法に関する訴訟情報について(2020年)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

車が故障して困っている人のイラスト令和2年(2020年)3月25日に、消費者庁が取りまとめている「製造物責任法に関する訴訟情報」が更新されましたので、今回はそれについて書きます。

製造物責任法に関する訴訟情報はこちら

以前のブログにも書きましたが、ライセンス契約書等をチェック・作成をしていると、製造物責任に関する条項を見る機会があります。

そこで、ライセンス契約等の契約のレビュー等を担当している方は、製造物責任法(PL法)の現状を把握しておく必要があります。

その際に役立つのが、消費者庁が取りまとめている「製造物責任法(PL法)に基づく訴訟情報の収集」のWebページです。

このWebページには、次の3つの訴訟情報をダウンロードできるようになっています。

PL法に関する訴訟情報としては、何れの資料も非常に役立つものですが、ライセンス契約書等をチェック・作成する際には、PL法論点別裁判例が特に役立ちます。

例えば、第2条第2項の「当該製造物を引き渡した時期(技術的実現可能性)」の項目に関する裁判例として、国立大学法人研究棟ガラス落下事件が掲載されており、この項目の解釈として
「現在の技術では、製造の過程で強化ガラスに硫化ニッケルが発生し、残存する可能性を完全に除去することは困難であり、強化ガラスは、外力による破損の可能性のほか、製造過程において発生し、残存した硫化ニッケルの膨張によって自然破損する可能性のあることをも前提として一般的に利用されているのであるから、本件落下事故において落下した強化ガラスが残存した硫化ニッケルの膨張のために自然破損したものであるとしても、強化ガラスとして通常有すべき安全性を欠いていたとは認めることはできない。」
という裁判所の判断が記載されています。

裁判例はあくまでその事案の判断が記載されているだけなので、この判示をどう解釈すべきかは、判決書を実際に読み込む必要がありますが、膨大な裁判例のうちPL法に関する裁判例が論点別にまとめられていることは非常に価値があると思います。

実際に、PL法の裁判に関与している人だけではなく、ライセンス契約書等の契約書を作成・検討している人にも非常に役立つ資料だと思いますので、是非読んでみてください!

弊所では、PL法も考慮したライセンス契約書等の作成も承っております。
ライセンス契約書等で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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