営業秘密(秘密情報)管理に役立つ資料7

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

テレワーク時における秘密情報管理のポイントの表紙

引用:テレワーク時における秘密情報管理のポイント

2020年(令和2年)5月7日に、経済産業省が「テレワーク時における秘密情報管理のポイント」を公表しましたので、今回はこれについて書きます。

「テレワーク時における秘密情報管理のポイント」はこちら

現在、コロナウィルスの影響を抑えるために、テレワークが推奨されています。

しかし、秘密情報を持ち帰らせることなどによる情報漏えいのリスクや、法的保護の毀損への懸念から、テレワークへの切り替えを躊躇するケースも想定されています。

そこで、この資料には、主に、不正競争防止法上の「営業秘密の保護」の観点から、企業の秘密情報を適切に守りながら、テレワークを実施していく上でのポイントがまとめられています。

さて、この資料の内容ですが、次のような質問に対する回答という形で解説されています。

  1. 当社は、今までテレワークに対応した準備をしてきませんでしたが、昨今の情勢に鑑み、従業員のテレワークを認めたいと考えています。テレワークにあたってはこれまで企業の内部で保管していた営業秘密に該当する秘密情報も一部持ち帰って作業を行うなどの取り扱いを検討する必要がありそうです。営業秘密としての保護との関係が気になるところですが、まずは、どのような対応から始めたらよいのでしょうか。
  2. テレワークの実施にあたって、当社が紙媒体で管理している秘密情報(重要書類)を従業員が自宅等へ持ち帰る必要が生じています。このような場合であっても、営業秘密として保護されるのでしょうか。
  3. テレワークの実施にあたって、当社が電子データで管理している営業秘密を、各従業員の社用PCなど当社が貸与した端末機器(勤務先貸与端末機器)のローカルフォルダに保存する必要が生じています。このような場合であっても、営業秘密として保護されるのでしょうか。
  4. テレワークの実施にあたって、従業員が、社外から当社サーバー上において電子データで管理している営業秘密にアクセスすることができる環境を整えました。このような場合であっても、営業秘密として保護されるのでしょうか。
  5. 当社では、外部クラウドを利用して、営業秘密を管理しています。このような場合であっても、営業秘密として保護されるのでしょうか。
  6. 当社の従業員の中には、自宅外でテレワークを実施している者もいます。このような場合であっても、営業秘密として保護されるでしょうか。
  7. 万が一、情報漏えいや、不正な持出し等があった場合に備えて、事前に行うことができる対策はあるでしょうか。
  8. 当社では、従業員が自宅に持ち帰ることが可能な勤務先貸与端末機器がありません。そのため、従業員には、テレワークの実施にあたり、各従業員が個人で所有しているPCなど私物端末機器を利用させようと考えています。このような場合でも、営業秘密として保護されるでしょうか。
  9. テレワークの実施にあたり、オンライン会議を利用することが増えました。営業秘密管理の点で注意すべき事項等はあるでしょうか。
  10. テレワークの実施にあたり、従業員間や外部の取引先等との間でもチャットツールによって、連絡を取ることが増えました。営業秘密管理の点で注意すべき事項等はあるでしょうか。

これらの項目を見れば分かると思いますが、実際に悩みそうな具体的な質問が列挙されており、それらに対する回答も具体的に解説されています。

例えば、「5. の当社では、外部クラウドを利用して、営業秘密を管理しています。このような場合であっても、営業秘密として保護されるのでしょうか。」という質問に対して、
「外部クラウドを利用したとしても、直ちに営業秘密としての法的保護を失うわけではありません。」
と簡潔な回答が記載されています。

そして、所定のポイントを押さえた管理を意識することで、万が一の場合でも、営業秘密として不正競争防止法による法的保護を受けられる可能性があることが解説されています。
(所定のポイントの詳細については、実際に確認してみてください。)

なお、この情報の以外にも、
「外部クラウド上で営業秘密を管理するにあたっては、そもそも選定するクラウドの安全性等に十分注意することや、契約後ファイルをクラウド上にアップロードする際に公開範囲の設定に十分注意することも必要になります。例えば、外部クラウド上の不特定多数の者が閲覧可能なフォルダ等に営業秘密をアップロードしてしまった場合、営業秘密の3要件の1つである「非公知性要件」を満たさなくなる可能性が生じるものと考えられます。また、不要となったファイルのクラウド上からの消去の徹底にも注意を要します。消去できているか不安が残るときは、暗号化して読めなくする方法も考えられます。」
のように、いろいろなアドバイスも記載されています。

コロナ禍が終わっても、テレワークが進展して行く可能性があります。

そのような状況になっても、営業秘密を守れるように、この資料に書かれていることを実践して行った方が良いのかもしれません。

弊所では、営業秘密に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。