「侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)」が公表されています

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログに書いたように、令和2年6月5日に「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。

この改正法では、インターネット上の海賊版対策の強化の1つとして、侵害コンテンツのダウンロード違法化(第30条第1項第4号・第2項、第119条第3項第3号・第5項等)が含まれています。

しかし、改正された条文を読んでみていただければ分かりますが、条文自体が難解な表現となっており、どのような行為を行うと違法になるのかが分かり難くなっています。
(条文なので、抽象的になってしまうため、仕方がないのですが。。)

そこで、文化庁は、現時点(令和2年3月10日時点)における文化庁の基本的な考え方を整理した「侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)」を公表していますので、今回はこれについて書きます。

侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)はこちら

侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)の表紙

引用:侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)

さて、このQ&Aですが、次のような問(全25問)に対する回答が記載されています。

  1. 既に違法となっているアップロード行為を厳格に取り締まれば良く、ダウンロードを行うユーザーまで規制する必要はないのではないか。
  2. 漫画村のようなストリーミング型の海賊版サイトには効果がないため、ダウンロードを違法化しても意味がないのではないか。
  3. 侵害コンテンツのダウンロードを行った場合、いきなり訴訟を起こされたり、逮捕されたりするのか。
  4. 昨年提出を検討していた法案から、どのような修正を行ったのか。
  5. インターネット上での情報収集等が萎縮するのではないか。
  6. スクリーンショットができなくなるのか。
  7. 漫画家・研究者等が行う創作・研究活動や、企業が行うビジネスにも悪影響が及ぶのではないか。
  8. 論文に引用するために、インターネット上のコンテンツをダウンロードすることもできなくなるのか。
  9. 漫画だけを対象にすれば良いのではないか。
  10. 「海賊版サイト」からのダウンロードだけを違法化すれば良いのではないか。
  11. 侵害コンテンツを見ただけで違法となってしまうのか。
  12. メールで侵害コンテンツのファイルを送り付けられた場合にそれを保存すると違法となってしまうのか。
  13. インターネット上のコンテンツは,適法にアップロードされたか、違法にアップロードされたかの判別が困難な場合も多いのではないか。実際には違法にアップロードされたものであるが、適法にアップロードされたもの(例:適法に引用されたもの)だと勘違いしてダウンロードした場合は、どうなるか。
  14. 違法なアップロードだと知っていたということは、誰がどのように判断するのか。ユーザーが違法だと知らなかったことを証明することは困難ではないか。
  15. そもそも二次創作・パロディを創作・アップロードする行為は違法なのか。
  16. ①二次創作・パロディを二次創作者自身が共有サイトなどにアップロードしている場合、それをダウンロードする行為は違法となるのか。また、②二次創作・パロディを更に第三者が違法にアップロードしている場合、その二次創作・パロディの海賊版をダウンロードする行為は違法となるのか。
  17. 「軽微なもの」とは具体的にどのようなものを指すのか。
  18. 実際には軽微ではないものを「軽微なもの」だと勘違いしてダウンロードした場合は、どうなるのか。
  19. 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」と規定することとしたのはなぜか。具体的にどのような場合がこれに該当するのか。
  20. 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」に該当することをユーザーが立証するのは困難ではないか。
  21. 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」に該当することをユーザーが立証するのは困難ではないか。
  22. 刑事罰まで科す必要はあるのか。音楽・映像についても摘発事例はないところ、刑事罰を科す意味はどこにあるのか。
  23. 警察による捜査権の濫用を招くのではないか。
  24. 著作権等侵害罪はTPP整備法により一部非親告罪化されているが、今回もそれが適用されるのか。
  25. 正規版が有償で提供されているか否かは、ダウンロードするユーザーには分からない場合もあるが、その場合でも、刑事罰を科される可能性があるのか。
  26. 今回の改正に伴って、音楽・映像の違法ダウンロードについては、要件を変更しないのか。
  27. 附則に規定された「違法アップロード対策の充実」として、何を行っていくのか。

これらの問を見ると、一般の人が気になるものが多数含まれていることが分かると思います。

これらの問に対する回答は、非常に明快なものもあれば、結局よく分からないというものもあります。

例えば、問18の『「軽微なもの」とは具体的にどのようなものを指すのか。』という問に対については、
「1.典型的には,数十頁で構成される漫画の1コマ~数コマ,長文で構成される論文や新聞記事の数行など,その著作物全体の分量から見て,ダウンロードされる分量がごく小さい場合は,「軽微なもの」と認められます。一方で,漫画の1話の半分程度,論文や新聞記事の半分程度のダウンロードは「軽微なもの」とは言えません。
2.このほか,画質が低く,それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像をダウンロードした場合も「軽微なもの」と認められます。」
という回答が記載されているだけで、明快なものとはなっていません。

この部分については、著作権法第30条1項の「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」と同様に、判例等が出ないと、結局は分からないということになるのかもしれません。

ただ、これらの回答は、少なくとも著作権法を所管している文化庁の公式見解ですので、判例等でこれらの見解が修正されるまでは、令和2年改正の著作権法第30条第1項第4号・第2項、第119条第3項第3号・第5項等については、実務上は、このQ&Aに記載されているように解釈されると考えた方がよいと思います。

侵害コンテンツのダウンロード違法化は、個人にも大きな影響を及ぼしかねない法改正となっています。

違法行為を行わないようにも、このQ&Aを読んでみてください。

弊所では、今回の法改正を含めて著作権に関するご相談やセミナーの開催も承っております。
著作権関係で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。