改正種苗法に関する資料が公表されています(2021)

改正種苗法に関する資料が公表されています(2021)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

令和3年11月18日に、農林水産省から改正種苗法に関する資料が公表されましたので、今回はそれについて書きます。

改正種苗法について 表紙
引用:改正種苗法について

令和2年改正種苗法の一部は令和3年4月1日から施行されていますが、令和4年4月1日から登録品種の増殖に関する制限や、品種登録出願手続等が変更になります。

そこで、農林水産省は、令和4年4月1日から施行される部分に関し、次の説明資料を公表しました。
なお、この資料は、改正種苗法に関する説明会で使用された資料になります。

さて、これらの資料の内容ですが、1つずつ簡単に概要を説明します。

まず、「改正種苗法について」では、次の改正事項が説明されています。特に、青色の改正事項は令和4年4月1日から施行される事項になります。

  1. 輸出先国の指定(海外持ち出し制限)
  2. 国内の栽培地指定(指定地域外の栽培の制限)
  3. 登録品種の増殖は許諾に基づき行う
  4. 登録品種の表示の義務化
  5. 審査手数料の設定と、出願料及び登録料の引き下げ
  6. 育成者権を活用しやすくするための措置
    1. 特性表の活用
    2. 訂正制度の導入
    3. 判定制度の創設
  7. 職務育成規定の見直し
  8. 在外出願者の国内代理人の必置義務化
  9. 指定種苗の販売時の表示の在り方の明確化
  10. その他の主な改正事項

さて、この資料では、改正法の単なる説明だけでなく、留意点も記載されています。

たとえば、「登録品種の増殖は許諾に基づき行う」では、次のような留意点が記載されています。

「①許諾手続を求めない旨を明示する方法としては、種苗の譲渡の際の表示、育成者権者の発行するカタログや広報、育成者権者の管理するホームページ等への掲載等が考えられる
②毎年種苗を購入している場合や、既に県域団体や種苗業者が一括して許諾を得、その許諾に基づき増殖を行っている場合は、改正法でも扱いは変わらない
③種苗購入時の契約等で許諾条件の遵守を求める許諾の方法もある
(許諾条件の例)
・少なくとも3年に1度種子を更新すること
・特定の栽培指針に従った栽培を行うこと
・増殖した種苗を有償・無償に関わらず第三者に譲渡しないこと」

このように実務に役立つことも記載されています。

実務的には、この他に「育成者権の取得・維持に要する費用の見直しと審査手数料の導入」が大きいと思いますので、確認しておいてください。
費用は、大幅に増加します。

次に「農研機構品種の自家増殖の許諾方針について」では、農林水産分野の日本最大級の研究機関である国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の研究成果(新品種等)を利用しようと考えている方は、是非この資料を読んでください。

農研機構の考え方が分かると思います。

「新たな品種登録出願手続き等について」では、新たな品種登録出願手続が詳細に解説されています。

現時点(令和3年12月)では、改正種苗法での品種登録出願に関する唯一の資料になると思います。

品種登録出願に関与する人にとっては必須の資料だと思います。

最後に、「海外における侵害対策等について」では、海外への出願促進対策である補助金制度についても解説されています。

海外でも品種登録を検討している方は是非読んでみてください!

弊所では、品種登録出願から権利行使・ライセンス契約等の種苗法に関するご相談も承っております。
種苗法について何かありましたら、遠慮なく弊所にお問い合わせください。

今日は以上です。

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