「限定提供データに関する指針」が改訂されました(令和4年5月)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで紹介した「限定提供データに関する指針」が改訂されたので、今回はそれについて書きます。

引用:限定提供データに関する指針(令和4年5月)

限定提供データに関する指針(令和4年5月)はこちら

今回の改訂版ガイドラインでは、限定提供データに係る規律の創設時からの実務の進展、近時政府全体で推し進めるデジタル化の進展等を念頭に、主に、次の2点について改訂されました。

  1. 制度施行後、限定提供データの利活用が進む中で解釈の明確化等の要請が寄せられた論点
  2. データ流通プラットフォームを運営する取引事業者が制度実装する際に課題となる論点

限定提供データの取り扱いが、徐々に明確化されてきてますね。

さて、この改訂版ですが、次のような目次となっています。

  1. はじめに
    1. 本指針の位置づけ
    2. 改訂の経緯
    3. 「限定提供データ」に関する検討が行われた委員会等
  2. 総説.
    1. 不正競争防止法の位置づけ
    2. 限定提供データに係る不正競争について(平成30年改正)
  3. 限定提供データについて
    1. 「業として特定の者に提供する」(限定提供性)について
    2. 「電磁的方法・・・により相当量蓄積され」(相当蓄積性)について
    3. 「電磁的方法により・・・管理され」(電磁的管理性)について
    4. 技術上又は営業上の情報について
    5. 「秘密として管理されているものを除く」について
    6. 適用除外の対象となる「無償で公衆に利用可能となっている情報(オープンなデータ)と同一」の情報について(法第19条第1項第8号ロ)
  4. 「不正競争」の対象となる行為について(総論)
    1. 各行為(「取得」、「使用」、「開示」)の対象について
    2. 「取得」について
    3. 「使用」について
    4. 「開示」について
  5. 不正取得類型について
    1. 「窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段」について
    2. 不正取得類型に該当しないと考えられる事例
  6. 著しい信義則違反類型について
    1. 図利加害目的について
    2. 「限定提供データの管理に係る任務に違反して行う」行為について
  7. 転得類型について
    1. 取得時悪意の転得類型
    2. 取得時善意の転得類型
  8. 請求権者について
    1. 概要
    2. プラットフォーマーと請求権者
    3. 委託と請求権者

この目次から分かるように、データ流通プラットフォームに関する改訂項目としては、「8. 請求権者について」になります。

例えば、「プラットフォーマーと請求権者」の項目では、次のように記載されています。

「データ流通プラットフォームサービスを展開するプラットフォーマーは、同プ
ラットフォーム上で流通する限定提供データが同プラットフォーム上から流出す
るなどした場合、一定の場合には、「営業上の利益」を侵害される者に該当し、
差止請求・損害賠償請求を行うことが可能と考えられる。」

このようにプラットフォーマーの権利も明確化されています。

限定提供データに関する裁判例は、現時点(2022年5月)ではまだ無いようです。

そうすると、限定提供データに関する公的な資料としては、法改正の議論と、この改訂版ガイドラインぐらいでしょうか?

限定提供データに関する契約書等を作成する場合には、ぜひこの改訂版ガイドラインを活用してください!

弊所では、不正競争防止法に関するご相談や不正競争防止法を考慮した契約書作成等のご相談も承っております。
これらについて何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

※「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する(限定提供性)情報として電磁的方法により相当量蓄積され(相当蓄積性)、及び管理(電磁的管理性)されている技術上又は営業上の情報をいう(不競法2条7項)。

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